(※写真はイメージです/PIXTA)
作り過ぎた第一印象は失敗のもと
第一印象を作り過ぎると失敗することがあります。必要以上に自分をよく見せようとすると、いつか必ずボロが出るからです。
私は航空会社を退職後、7年間外資系保険会社で保険営業に携わっておりました。営業スタッフは第一印象に気を配る人も多く、お客様にお会いするときは身だしなみや立ち居振る舞いに注意を払います。保険営業はとても厳しい世界ですが、トップセールスマンになると年収も普通の会社の役員並みになるほど営業成績がものを言う世界です。
当然、トップセールスマンとそうでない営業マンでは、着ているスーツや持ち物までもが違うのですが、本当のトップのセールスマンは意外と質素です。普通の白のYシャツに濃紺のスーツ、鞄も靴もブランド品で飾り立てることはありません。どちらかといえば、地味な印象の装いですが、常に清潔に、着崩すことなくきちんと身なりを整えています。
ここで、トップセールスマンとそうでない人との違いが出ます。トップセールスマンでない人は、第一印象を整えるというと、洋服や鞄などの持ち物だけを高級ブランドで固めようとするのです。カラーシャツを着て、派手なスーツにブランドバッグ、フェイスの大きい目立つ時計を身につける人もいるほどです。ブランド品で身を固めていると、いかにも成功者のように見えますが、実は営業成績が振るわず、苦心している営業マンも多いのです。
身の丈以上の高価なものを身にまとい、それで第一印象をよくしようと思っているのであれば、それは大きな勘違いです。外見を飾り立てても、中身が伴わなければ、相手にはすぐに見破られてしまいます。
IT長者と言われるような創業者は、TシャツにGパンです。社長なのに、そんなカジュアルでいいの? と思う人もいるでしょうが、クリエイティブな業界特有の常識があります。アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、自分の美学にこだわり、それを社会に認知させた例と言えるでしょう。人はそこまで突き抜けると、誰も異議を唱えません。しかし、その基準をあらゆる業界で適用させるにはまだ時間がかかるのが現状です。
ビジネス上の身だしなみも、カジュアル傾向にあるものの、まだまだ一般的な企業では、服装は普段着のように自由にはできないものです。そして、作り過ぎた印象でもう一つ多いのが、年齢より若く見せ過ぎることです。
いつまでも若くありたいと思う気持ちは十分理解できますが、痛々しく見えるまでの若作りは逆効果です。特に服装で若く見せようとする人は、若く見えるというより幼稚な印象を与えかねません。いつまでも若さを売りにすることはできません。歳を重ねての過度な若作りは、中身のなさを自らさらけ出しているようなもの。「若くある」ことと「若作り」はまったく異なるものです。
ビジネスシーンでは、作り過ぎた奇抜さや斬新さは必要ありません。装飾だけの外見にこだわった第一印象は、実際との違いにマイナスなギャップが生じて、かえって逆効果になることを肝に銘じなければいけないのです。
