健康で文化的な最低限度の生活ができない人に対するセーフティネットである「生活保護」。その受給者は2015年のピーク時から徐々に減少傾向にあるといわれていますが、それでも年平均200万人もの人が受給しています。今回、東京都23区に焦点をあて、生活保護の実態を紐解いていきます。
東京23区「生活保護」調査…保護率トップは「足立区」だが、「増加率」トップは都心3区の一角。東京のド真ん中で「生活保護受給者」が激増しているワケ ※写真はイメージです/PIXTA

23区「生活保護率」ワースト1は「足立区」だが…

続いて、地域別にみていきましょう。生活保護受給者が最も多いのは「足立区」で1万8,805人。「江戸川区」1万5,351人、「板橋区」1万4,462人、「練馬区」1万3,624人、「大田区」1万3,078人と続きます。ちなみに人口が最も多いのは世田谷区で93万人。「練馬区」「大田区」「足立区」「江戸川区」と続きます。人口の多い区で生活保護者は多くなりますが、一概に人口に比例するとはいえません。

 

続いて保護率でみていくと、東京都平均が19.6‰、区部平均が20.5‰。そんななか、最も保護率が高いのが「足立区」で33.9‰。一方で最も低いのは中央区で7.0‰でした。

 

【東京23区生活保護率ワースト5】

1位:足立区…23,558人/33.9‰

2位:台東区…7,023人/32.0‰

3位:板橋区…17,695人/30.2‰

4位:葛飾区…13,368人/29.3‰

5位:江戸川区…19,307人/27.9‰

 

また市部で最も保護率が高いのが「清瀬市」で27.2、島嶼部を含めると「八丈町」がワースト1で33.8‰。一方で市部で最も保護率が低いのが「国分寺市」で9.2‰。島嶼部では「利島村」が低く3.0‰でした。

 

東京23区の保護率を細かくみていくと、東高西低の傾向にあることがわかます。さらに増加率をみていくと、また別の側面がみえていきます。2010年の保護率を100とした際、最も増加率が高かったのが「中央区」。2010年を100とした際、2023年は145.8。続いて「世田谷区」が131.7、「中野区」「葛飾区」が126.7、「練馬区」が126.3……増え方では「中央区」が圧倒的です。また、増加率で最も少なかったのが「台東区」で89.9。現状、2010年の水準を下回っているのは「豊島区」98.1、「文京区」98.9、「千代田区」99.8の4区のみでした。

 

「中央区」は「千代田区」や「港区」とともに、首都・東京のなかでも都心とされるエリア。なぜ「中央区」で生活保護受給者が増えているのでしょうか。

 

中央区は他2区に比べて、商業の集積が進み、飲食業やサービス業の割合が多いエリア。コロナ禍の影響により、生活困窮者が増えたといわれています。また貧困に陥りやすい高齢者やひとり親でも、比較的仕事を得られやすいのが飲食業やサービス業。仕事を得ようと生活困窮者が集まるため、保護率も上昇するというわけです。

 

多くの人が行き交う大都会・東京。華やかさの裏側には、貧困にあえぎ、生活保護を受けながら必死に生きている人たちがいます。

 

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[参考資料]

厚生労働省『被保護者調査』

東京都福祉局『令和5年度福祉統計年報編』