どんなに仲のいい夫婦でもお互いに知らないこと、隠していることは1つ、2つはあるもの。大抵はどうでもいいような「些細なこと」というのがお決まりであるものの、なかにはとんでもないことを隠しているケースも。「これは墓場まで持っていく」と考えていた秘密でも、露呈してしまうこともあるようです。
〈月収58万円〉45歳の年下夫を亡くした48歳妻だったが…「遺族年金の請求」で発覚した〈夫の驚愕の過去〉に呆然「何かの冗談では?」 写真はイメージです/PIXTA

遺族年金の請求手続き…書類を揃えているときに露呈した「亡夫の秘密」

遺族年金は国民年金に由来する遺族基礎年金と、厚生年金に由来する遺族厚生年金の2つがあります。遺族基礎年金には子の要件があるので、香織さんは受け取ることができません。一方、遺族厚生年金には子の要件はなく、より多くの人が受け取ることができます。

 

遺族年金を請求する際、「年金請求書」とともに、「基礎年金番号通知書、または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類」「戸籍謄本(記載事項証明書)」「世帯全員の住民票の写し」などを添えて、年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。

 

香織さんも請求手続きに向けて書類をそろえているとき、ふとあることに気づきます。祐介さんの戸籍謄本に離婚歴が記されていたのです。

 

――じょ、冗談でしょ?

 

祐介さん、香織さんと出会う前に離婚歴があったことなど、ひと言も話したことはなかったといいます。意図的に隠していたのかどうか、今さら知る由はありませんが、大きなショックを受けた香織さん。さらに調べていくと、前妻との間には子どもがいて、祐介さんは毎月12万円の養育費を支払っていたことも判明しました。

 

そこで香織さんは遺族厚生年金が受け取れないことも判明。遺族厚生年金の受給対象者は、死亡した人に生計を維持されていた遺族のうち、最も優先順位の高い人が受け取ることができます。その優先度は「①子のある配偶者、子」「②子のない配偶者」「③父母」「④孫」「⑤祖父母」。今回、祐介さんは前妻の子に養育費を払っていることから生計を同一とする家族とみなされ、前妻との子が遺族厚生年金を受け取れる可能性が高いといいます。

 

――なぜ、いってくれなかったのでしょう……

 

離婚歴があり、しかも毎月養育費を支払っている子どもがいる。隠していていた理由など、いまさら知る由もありません。

 

香織さんのように、お互い初婚同士と思っていたのに、片方の不幸により、何らかの手続きの最中に前婚歴が露呈する……決してよくあることではありませんが、もし自身の身に起きたら、遺族年金や相続などに大きな影響があります。少しでも不安に思うなら「前婚歴、ないよね?」と、まずは探りをいれてみてはどうでしょうか。

 

[関連]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

日本年金機構『遺族厚生年金』