坂の上のマイホーム、老後にはツラいと考えて
――以前住んでいたところは坂が多く、年をとってから住むには辛いと考えていました
60歳定年を機に、住み替えで引越しをしたという山下祐一さん(仮名・66歳)、素子さん(仮名・65歳)夫婦。30代で購入し、ローンを返し終わっていたマイホームですが、定年後の生活を見据えて、建て直すかどうか悩んでいたところ、「思い切って住み替えよう」と、以前の住まいを売却。以前よりも郊外にはなるものの、売却で得たお金だけで買える戸建てへと住み替えをしました。
国土交通省『住生活総合調査』によると、将来の住み替えに対して「できれば住み替えたい」が19.7%。家族の類型ごとにみていくと、65歳以上になると住み替え意向がガクンと落ちることがわかります。高齢者になってから新しい環境に身を置くのは億劫になるもの。将来、住み替えを考えるなら、経済的にも年金生活に入る前、というのが正解といえるでしょうか。
【今後の住み替え意向「できれば住み替えたい」の割合】
65歳以上の単身者…12.4%
65歳以上の夫婦…11.2%
65歳未満の単身者…32.6%
65歳未満の夫婦…26.0%
親と18歳未満の子…28.0%
親と18歳以上の子…16.1%
住み替えの目的としては「広さや部屋数」42.3%。「使いやすさの向上」31.9%、「新しさ・きれいさ」27.4%、「性能の向上(断熱性、省エネ性)」22.7%、「住居費負担の軽減」21.6%、「通勤・通学の利便性」20.3%と続きます。
老後を見据えての住み替えの場合、子どもが独立したあとの広い家を維持していく労力は相当なもの。また階段や段差の多い家は、体の自由がだんだんと制限されていく老後においては安全とはいえず、バリアフリーを施した住まいにしたいもの。山下さんのように、建て替えかそれとも……と検討し、費用的な懸念が払拭できれば、年金生活を前にしての住み替えも有力な選択肢といえそうです。
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