厚生労働省によると、2023年の日本の離婚件数は18万3,808組。離婚の数だけ、いろいろなドラマがあります。なかには、憎しみの感情で爆発しそうな……そんなケースも珍しくないようです。
年収800万円・再婚6ヵ月の45歳夫、心筋梗塞で急死…後妻が暮らす「昔住んでいた家」を見た先妻が、思わず「畜生!」と叫んだワケ ※写真はイメージです/PIXTA

別れた夫がすぐに再婚も、半年後に急逝…「天罰が下った」と前妻

すでに夫婦関係は破綻していて、離婚も時間の問題。そこで夫の不貞が露呈したことで離婚に向けて話し合いが行われました。5歳になる長男の親権は亜由美さん、養育費は年収800万円の夫、年収500万円の妻の場合の相場で月8万円……スムーズに決まっていき離婚が成立。夫の不貞に対しては、慰謝料は請求なし。これは亜由美さんの意地だといいます。

 

離婚後は実家へ出戻り。夫婦仲がうまくいってなかったことは両親もわかっていたので、「お帰り」と温かく迎えてくれたとか。ただこのあと、はらわたが煮えくり返るような出来事が勃発。離婚から6ヵ月後、元夫が急死したという連絡が入ったのです。

 

元夫は離婚後、すぐに不倫相手と再婚したと風の噂で知りました。亜由美さん、かなりカチンと来たといいますが、もはや赤の他人。養育費さえ払ってくれたら……と冷静を保っていたといいますが、それから半年後の急逝とは、「天罰が下った」と思いつつも、一度は夫婦だった関係。少なからずショックを受けたとか。とはいえ先妻が葬儀に参加するのも非常識と思い、特にアクションを起こさなかったといいます。

 

しかし元夫とは赤の他人とはいえ、長男は彼の子であることに変わりありません。「遺族年金の手続きもあるし……」と、昔住んでいた自宅を訪れようと考えました。しかし、実際に訪れてみると、衝撃的な光景を目にします。

 

――えっ、子どもがいるの?

 

実子が連れ子かはわかりませんが、家の周りの様子から、子どもがいることは明らかでした。実子だった場合、亜由美さんとの婚姻期間中に不倫相手と子どもまで……そんな想像をすると、思わず口から「畜生!」と言葉が出てしまっていたといいます。

 

離婚した元夫が亡くなった場合、再婚していたり、さらに子どもがいたりすると遺族年金の受給は複雑です。

 

まず遺族基礎年金は、元夫が養育費を払っているなど生計同一要件が認められれば、子に受給権が発生します。しかし子に生計が同じ母(父)がいる間は、子には遺族基礎年金は支給されないというルールがあるので、亜由美さんのケースでは、後妻との間に子がいてもいなくても、遺族基礎年金は対象外となります。

 

続いて遺族厚生年金は、元夫が養育費を支払っていれば先妻と暮らす子に遺族厚生年金が支給されます。しかし後妻との間に子がいれば、子のある妻(=後妻)が優先されます。ただし、連れ子の場合は養育費を払っているなど生計同一要件が認められれば先妻と暮らす子に受給権があります。しかし後妻の子と元夫が養子縁組している場合は、子のある妻(=後妻)が優先されます。

 

まだ元夫の再婚について、詳細はわかっていませんが、「いまからでも慰謝料を請求してやろうか」と、ふつふつとした怒りでいっぱいだといいます。

 

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[参考資料]

裁判所『令和5年度司法統計年報』

日本年金機構『遺族年金』