ザ・平均的サラリーマン…東大卒の息子に感じた失望
ザ・平均的サラリーマンの清水さん。唯一の自慢というのが、26歳になるというひとり息子、翔太さん(仮名)。その最終学歴は東京大学だといいます。
「この世の中は学歴」と口が酸っぱくなるほど子どもに伝えてきたという清水さん。それが功を奏したのか、翔太さんは子どものころから優秀で、あれよこれよという間に東京大学に現役合格を果たしたといいます。
――鳶が鷹を生むとはまさにこのこと
ただ親の期待を超えていたのは、このときまでだったといいます。翔太さんは大学卒業後、安定した正社員の職を選ばず、非正規のアルバイトとして働いています。就職活動をするつもりはないと聞いたとき、清水さんは思わず言葉を失い、何もいえなかったといいます。何とか理由を尋ねると、言いにくそうにしていた翔太さん。あまりにしつこく聞くので、最後は観念したように「お父さんのように、会社の歯車のようになって働くのだけは嫌なんだ」とひと言。その言葉に、さらに言葉を失ったといいます。
現在、翔太さんはアルバイトを続けながら、月17万~18万円程度を稼いで生活をしているとか。清水さんは、息子の学歴を誇りに思っていたため、彼が低収入で不安定な仕事を選んだことに大きな失望を感じたといいます。「高学歴であれば官僚になるか、よい企業に就職できるはず」という期待が、見事なまでに裏切られる形になったのです。
総務省『労働力調査 2023年(令和5年)平均結果』によると、2023年、非正規社員は2,124万人で前年比23万人増。20代前半では188万人、20代後半では117万人が非正規社員として働いています。なぜ非正規社員でいるのか、その理由として最も多いのが「自分の都合のよい時間で働きたいから」で34.7%。「家計の補助・学費等を得たいから」18.3%、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」11.2%と続きます。また「正社員の仕事がないから」は9.6%でした。
10年前と比較すると、「自分の都合のよい時間で働きたいから」は10.5%増。一方で「正社員の仕事がないから」は9.6%減少しました。「あえて非正規」の人が大幅に増加しているのです。特に増加幅が多いのが20代前半で18.0%増。20代後半で11.5%増、30代後半で11.2%増でした。
「せっかく、東京大学まで出たのに」と思いつつも、あえて非正規を選ぶことになったのは自分のせいでもあると清水さん。
――親父として、格好いい背中を見せることができなかった。こんな私に、失望したのは息子だったのかもしれません。ちょうど多様な働き方が認められるようになったことも、息子には大きかったのではないかと思います
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