不動産投資での6つの失敗事例と末路
不動産投資は数千万円の高額な投資であり、失敗しないためには「不動産投資経験者がどのような失敗をして、どうなってしまったのか」を知ることはとても大切です。そこで、まずは不動産投資での6つの失敗事例とその末路についてご紹介します。
- ケース1:新築マンションを購入したが、家賃が下落してしまい失敗したAさん
- ケース2:サブリース契約で家賃の値下げをされ失敗したBさん
- ケース3:中古の区分マンションを購入したが、大規模修繕費が必要となったCさん
- ケース4:空室が続いてローンの返済ができなくなったDさん
- ケース5:高利回りの物件を購入したが、老朽化によりリフォームが必要になったEさん
- ケース6:節税目的で物件を購入したが、海外転勤になってしまったFさん
なお、以下のコラムで「不動産投資はやめとけ」と言われる理由や不動産投資に向いていない人、向いている人の特徴を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
【関連記事】「不動産投資はやめとけ」と言われるのはなぜか?その理由と基礎知識を解説
ケース1:新築マンションを購入したが、家賃が下落してしまい失敗したAさん
Aさん
関東で働く会社員。30代男性
都心の新築ワンルームマンションを購入
Aさんは会社員として働きながら、都心の新築ワンルームマンションをフルローンで購入しました。不動産業者が作成した収支シミュレーションではローン返済の金額との差し引きで月1万円ほどキャッシュフローが赤字でしたが、「毎月1万円、年間12万円の支払いで、老後の蓄えになる不動産を購入できますよ」という不動産会社の提案もあり購入を決めました。
しかし、築年数が経過すると、入居者の入れ替わりと共に家賃が下落し、新築時の家賃と同額の家賃収入を得ることは困難となりました。最終的に家賃は当初より1万円下回ってしまい、年間24万円の赤字になりました。
さらに、物件を売却しようと試みたものの、売却価格がローンの残債よりも低くなってしまい、完済することができず結局売却は断念することになりました。
その結果、Aさんは今もなお、本業での収入から残った赤字分の返済を続けています。不動産投資において、家賃の変動や市場の変化を見誤ることは大きなリスクとなり得ることをAさんのケースでは物語っています。
ケース2:サブリース契約で家賃の値下げをされ失敗したBさん
Bさん
看護師、30代女性
節税対策と老後の備えとしてワンルームマンションを購入
Bさんは、30代の看護師で節税対策と老後の蓄えとしてフルローンでサブリース契約のワンルームマンションを購入しました。「家賃が変わることはほとんどないので大丈夫」という説明を受け、安定した収益を期待していました。
しかし、2年保有した後、突然サブリース会社から家賃の値下げを要求されました。
サブリース契約はサブリース会社が物件の借主となるため、借地借家法に従って有利な立場で賃料の値下げ要求や契約更新の拒絶、解約の申出をすることができます。そのため貸主の立場になるBさんからは契約の解除がしにくくなります。
Bさんはサブリース会社との契約解除ができず、家賃の交渉も成立しなかったため、減額の要求を飲むしかなく、毎月1万円の収入減となりました。
また、家賃収入が減少したことで物件の売却も考えましたが、サブリース契約であることから買い手が見つからず、売却価格を下げるとローンの完済ができずに数百万円残ってしまうため、売却も断念するしかありませんでした。
結果として、Aさんと同じく現在も本業の収入から赤字分を補填して支払い続けています。サブリース契約は魅力的に見える一方で、家賃の下落リスクや解除がしにくいこと、売却時に買い手が見つかりにくいため希望の価格で売却できないことを考慮しないと大きな失敗につながります。
なお、以下のコラムで「サブリースはやめておけ」といわれる理由やトラブルを防ぐポイントを解説しています。合わせて参考にしてください。
【関連記事】「サブリースはやめておけ」と言われる理由とは?危ない点やデメリットを解説
ケース3:中古の区分マンションを購入したが、大規模修繕費が必要となったCさん
Cさん
40代サラリーマン男性
初めての不動産投資で利回りの良い中古のワンルームマンションを購入
Cさんは、40代のサラリーマンで初めての不動産投資として利回りの良い中古のワンルームマンションを購入しました。
購入して4年後、マンションの管理組合から「将来の大規模修繕費用を賄うための積立金が不足しており、修繕積立金を増額したい」という決議についての通達がきました。Cさんは積立金の増額に反対票を入れましたが、賛成多数で修繕積立金の増額が可決されました。
その結果、修繕積立金の増額による支出の増加から収支が悪化してしまいました。
不動産投資では購入時の利回りだけでなく、物件の長期的な維持費や修繕費も計画に織り込まないと思わぬ出費が発生し、投資計画が崩れるリスクがあります。
なお、以下のコラムで大規模修繕について詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
【関連記事】マンションの大規模修繕とは?費用の目安や削減する方法などを紹介!
ケース4:空室が続いてローンの返済ができなくなったDさん
Dさん
50代サラリーマン男性
定年退職後の老後の蓄えとして中古物件を購入
Dさんは、定年退職後の老後資金を確保するために学生向けの中古の一棟アパートを購入しました。不動産業者から「大学が近く入居率が安定している」との売り込みを受けたため、安定した収益を期待して投資を決断。しかし、物件購入後に近隣の大学が移転してしまい、学生の需要が激減したためアパートは空室状態が続いてしまいました。
家賃収入を得られないだけでなく、物件の価値も下落してしまい売却しても利益が見込めず、結果としてDさんには多額のローン返済だけが残ってしまいました。
不動産投資では、将来の入居需要や市場変動に対するリスクを適切に見極めることが重要になります。
ケース5:高利回りの物件を購入したが、老朽化によりリフォームが必要になったEさん
Eさん
40代女性
新築ワンルームマンションを2室保有。今回初めて中古ワンルームマンションを購入
Eさんは新築ワンルームマンションを2室保有していましたが、高い利回りに魅力を感じて初めて中古ワンルームマンションへの投資に挑戦しました。すでに物件を保有していることによる慣れと時間的余裕がなかったことから、物件を直接見ることなく購入を決断しました。
しかし、購入後に現地を確認したところ、物件は予想以上にボロボロで入居者を募集できる状態ではないことが判明しました。
結果として希望の家賃で入居者がつかず、Eさんは数百万円のリフォーム費用を追加で支払わなければならなくなり、計画していた収益が大幅に減少してしまいました。このように実際の物件の状態や修繕費用の見積もりを確認しないまま投資を進めると、予想外の追加費用が発生して大きな損失につながることがあります。
ケース6:節税目的で物件を購入したが、海外転勤になってしまったFさん
Fさん
商社勤務、年収1500万円。30代男性
都心の2LDKの新築マンションを購入
Fさんは商社に勤務している高収入のエリートサラリーマン。所得税や住民税の節税対策として都心の2LDKの新築マンションを購入しました。
ローン返済や固定資産税などの支出を差し引いた不動産投資自体での収支は赤字でしたが、損益通算による節税効果を含めるとトータルでは黒字でした。しかし、物件購入から3年後にFさんは海外転勤が決定し状況が一変しました。
海外勤務に伴って日本での課税所得や住民税の支払いがなくなったため、これまでの節税対策が機能しなくなり、不動産投資によるキャッシュフローが完全な赤字に転じてしまいました。このように節税目的だけで不動産投資を行うことにはリスクがあり、長期的なライフプランや収支の見直し、計画が崩れるリスクを考慮して慎重に判断することが重要です。