高齢者の4分の1が仕事をしている日本。その背景には、平均寿命と健康寿命が延び、老後がどんどん長くなっているという実情があります。さらに頭が痛いのが老後の生活資金。年金だけではとても足りず、働き続けるしかない実情があります。
88歳、まだ仕事してる…〈年金月7万円〉の高齢女性、腰に痛みで満身創痍。それでも「和菓子店で団子を焼き続ける」ワケ【働く高齢者の実情】

老後の年金対策が手薄になりがちな自営業「死ぬまで働かないと」

「働けるのは、健康な証拠ですね」というと、「いや、最近は腰が痛くて痛くて。立っているのもツライよ」と山田さん。それであれば、無理に働かなくても……。

 

――跡を継ぐ人もいないから、私が仕事を辞めたらこの店も終わりだね

――夫が始めた店だから、残したいという気持ちはあるけど、難しいね

 

何とも寂しい事情を吐露する山田さん。そして働き続ける理由はもうひとつ。

 

――年金が少ないから、死ぬまで頑張って働かないと

 

「国民年金だけ」という山田さん。満額受給であれば月6万8,000円(令和6年度)。今は多少なりとも店での利益がプラスとなり生活が出てきているけど、店を閉じてしまうと収入は年金だけ。

 

「貯金等の蓄えは?」と聞くと、「家を直したりして、全然残ってないんだよ」と山田さん。厳しい懐事情がゆえ、腰が痛くて満身創痍でも、店を続けているようです。

 

日本の年金制度は、3階建て構造。皆年金である国民年金。厚生年金がその上にのり、会社員や公務員であれば、国民年金にプラスして受け取ることができます。さらにその上には、任意で加入する個人年金や企業年金があり、老後資金を厚くすることも。

 

ベースが国民年金だけの自営業者は、国民年金基金や付加年金、iDeCo(個人型確定拠出年金)、個人年金保険などで、それぞれが老後対策を講じる必要があるでしょう。ただ山田さんの場合、年金保険料を払うだけでも精いっぱいだったと、それ以上の老後対策はしていないようです。

 

――お金はないし、腰も痛いし。まあ、座りながらでも団子は焼けるね。なんにせよ、この年でも働けているのは幸せなことだよ

 

と山田さん。生涯現役を宣言しています。

 

[参考資料]

総務省『労働力調査』

 

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