一定の収入がある高齢者の老齢厚生年金を減らす「在職老齢年金」。2000年以降に減額・停止の仕組みが導入され、現在の上限は50万円。実際に年金停止となるのは、働く年金受給者の16%に相当するといわれています。「一生懸命働いただけなのに……」そんな高齢者の嘆きが聞こえてきます。
ふざけるな!〈年金月22万円〉を受け取る65歳再雇用サラリーマン「年金が1年に1回増額になりますよ」に歓喜も、2年後、日本年金機構から「年金停止」の通知を受け取り大激怒

60歳の定年以降も働いた分、厚生年金は増える

小林浩一さん(仮名・67歳)。60歳で定年を迎えましたが、その前に再雇用制度で働き続けることを希望するかどうか意向を聞かれたといいます。大学を卒業して40年弱。ずっと働いてきたから、ここでひと息つきたいという自分と、仕事を辞めたら何もすることがない=仕事を続けたほうがいいという自分がいたといいます。

 

悩んでいるところに同僚がひと言。

 

――60歳以降も働けば、そのぶん、年金を増やすことができる。老後はいくらお金があっても足りないくらいなんだから、何もすることがないなら働けよ

 

厚生年金は原則70歳まで加入できる制度。60歳以降も加入資格があるなら保険料を払い続け、そのぶん、年金受取額を増やすことができます。また、70歳になると加入資格を失いますが、任意で厚生年金保険への加入も可能です。

 

仮に平均的な給与を得ている大卒サラリーマンがいたとしましょう。60歳で定年退職し、そのまま仕事をしていなければ、65歳から受け取れる年金額は厚生年金が15.81万円。併給の国民年金と合わせて19.98万円です(令和6年度換算)。

 

一方、60歳で再雇用となり、65歳まで非正規社員として頑張ったとしたらどうでしょう。65歳から受け取れる年金額は、厚生年金が14.96万円。併給の基礎年金と合わせて21.76万円となります。

 

国民年金の加入期間は最大で40年。20歳から保険料を働いていれば、定年と同時に加入期間は終了。これ以上、基礎年金は増えません。一方、厚生年金は60歳以降も働いて保険料を払っていれば、年金の増額が狙えます。