離婚した次女が2人の孫を連れて実家に出戻り…次第に依存するように
質素倹約を心がけ、贅沢といえば、年1回の温泉旅行……それでも穏やかな日常を楽しみながら過ごしていました、と田中さん。過去形なのは、状況が少々変わったから。「人生何が起こるか分かりません。自分たちではどうすることもできないことが起きたりするんです」と田中夫婦はため息をもらします。
きっかけは、次女(43歳)の出戻り。7歳と5歳になる孫を連れて、実家に戻ってきました。離婚理由は夫の借金。独立をしたもののうまくいかず、借金が膨らむ一方。家族を顧みず無謀な挑戦を続ける夫に愛想を尽かしたのだといいます。
――離婚の理由が理由だけに、養育費をもらっていないみたいですね
厚生労働省『令和3年度 全国ひとり親世帯等調査』によると、離婚時に養育費を取り決めているケースは全体の46.7%。取り決めてない理由として、「相手と関わりたくない」が50.8%と最も多く、「相手に支払う意思がないと思った」40.5%、「相手に支払う能力がないと思った」33.8%と続きます。
孫と共に実家に戻ってきた次女。当初、3人の生活費等はすべて次女が持つ、パートの収入でやりくりするという話だったといいます。しかし十分な稼ぎがあるわけではなく、たまに援助を求められることも。最初は遠慮気味だったといいますが……。
――大丈夫よ、じいじとばあばがいるから
出戻りから3ヵ月ほど経った頃に、そんな厚かましいひと言が引き金になったのか、援助の額は一気に増え、いつの間にか3人の生活費や孫の教育費など、すべて田中さん夫婦が負担するように。さらに家事全般に加えて、孫の習い事の送り迎えや宿題までも、田中さん夫婦がするようになったといいます。
日に日に依存度が増すなか、もっと次女自身がやるべきと咎めたところ、「私だって頑張っているんだから」「離婚して大変なんだから、援助してくれたっていいでしょ」と逆ギレ。情緒的に不安定な雰囲気もあり、それ以上は何もいえなかったといいます。
質素ながらも穏やかで自由な日々は一転、家のことと孫の面倒で忙しくする毎日に。さらに手つかずだった貯金が減っていくさまに、恐怖すら感じます。孫は愛する存在であるものの、全面的に面倒をみなければならないとなると話は少々変わってきます。
――私たちは一生、娘と孫のために生きなければならないのでしょうか
年1回のささやかな贅沢も、諦めなければならない……虚しくなるばかりだといいます。
[参考資料]