年収が比較的多くても、貯蓄することに無頓着な人は一定数います。本人の仕事に対する姿勢や子どもの将来への期待などから、浪費をしているつもりがなくてもお金が貯まらないというケースもあるでしょう。本記事で加藤哲也さん(仮名)の事例とともに、FP dream代表FPの藤原洋子氏が、将来生活設計の注意点について解説します。
もっと早く買っておけば…年収1,100万円・大手食品メーカー会社員、パート妻に泣きつかれ49歳で渋々マイホーム購入も、80歳で後悔する「戦慄の住宅ローン返済額」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

マイホーム購入の平均年齢

住宅の購入は生涯のうちで大きな決断の1つです。現在住宅を所有している人は、いつごろ購入したのでしょうか。次の調査は、2022年4月~2023年3月に住み替えや建て替え・リフォームを行った世帯を対象としたものです。住宅の種類や購入する年代などは以下のとおりです。

 

出典:国土交通省 住宅局 令和5年度住宅市場動向調査 報告書
[図表]購入する住宅の種類と平均年齢 出典:国土交通省 住宅局 令和5年度住宅市場動向調査 報告書

 

*注文住宅の調査地域は全国、その他住宅は三大都市圏(首都圏、近畿圏、東海圏)での調査

 

図表の調査では、住宅種類別の世帯主の年齢、平均年齢が示されています。世帯主の年齢は、注文住宅、注文住宅(新築)、分譲戸建住宅、分譲集合住宅、既存(中古)集合住宅は30代が多いです。注文住宅(建て替え)、リフォーム住宅は60歳以上、既存(中古)戸建住宅では30代、40代、民間賃貸住宅では30代未満の割合が最も多くなっています。 

 

戸建住宅か集合住宅か、購入する地域・広さなどによって、住宅の価格には大きな違いがあります。住宅融資支援機構のフラット35を利用している方への調査による、住宅取得時の購入金額をまとめました。

 

・土地付注文住宅 

全国  4,903万円(+209万円)

首都圏 5,680万円 (+574万円)

近畿圏 5,265万円(+368万円)

東海圏 4,811万円(+117万円)

その他地域 4,299万円(+148万円)

 

・建売住宅

全国 3,603万円(-116万円)

首都圏 4,199万円(-144万円)

近畿圏 3,721万円(-8万円)

東海圏 3,055万円(-96万円)

その他地域 2,873万円(-75万円)

 

・マンション

全国 5,245万円(+397万円)

首都圏 5,801万円(+473万円)

近畿圏 5,343万円(+369万円)

東海圏 4,732万円(+297万円)

その他地域 4,352万円(+334万円)

 

・中古戸建

全国 2,536万円(-168万円)

首都圏 3,172万円(-168万円)

近畿圏 2,485万円(-39万円)

東海圏 2,268万円(-51万円)

その他地域 2,025万円(-124万円)

 

・中古マンション

全国 3,037万円(-120万円)

首都圏 3,379万円(-139万円)

近畿圏 2,809万円(+34万円)

東海圏 2,309万円(+88万円)

その他地域 2,416万円(-131万円)

 

出典:住宅金融支援機構 2023年度 フラット35利用者調査 ()内は前年比

 

土地付注文住宅とマンションの価格は、全国的に上昇傾向です。住宅購入のタイミングは、それぞれの世帯ごとに異なります。結婚したり子どもが生まれたりしたタイミング、年収がある程度の額に達したとき、子供が独立したときなどに、購入や建て替えるケースが多いようです。

 

住宅取得の際には、多くの方が長期にわたって住宅ローンを組みます。「いつかはマイホームに住みたい」とお考えの方は、購入にあたり、子どもがいつごろ生まれるのか、子どもの教育費などの大きな支出を準備できるか、親世帯と同居する可能性はどうか、配偶者の定年はいつごろか、子どもが独立したあとはどのように暮らしたいか、などのライフプラン、ライフイベントを考えてみましょう。

 

適した場所や住宅の広さ・間取り、購入可能な価格などが徐々に具体的なものになります。