夫婦の本当の関係は、本人たちにしかわかりません。「なぜ結婚したんだろう」「なぜ離婚しないんだろう」と、周囲が首を傾げる夫婦も。そんなふたりに「相続」が発生すると、実に面倒なことになるようです。
子を残しタワマンを出て行った〈40歳の不倫妻〉だったが…別居中に〈43歳のサレ夫〉急死もしれっと喪主を務め「遺産相続」もしっかり主張。あまりの非常識に〈夫の姉〉ブチギレ (※写真はイメージです/PIXTA)

毒嫁の相続額を下げるには「遺言書の作成」が有効

相続が発生した際、遺言があればそれに則り、なければ法定相続人が話し合って分割方法を決めていきます。

 

民法で相続人となることができると定められた相続人が法定相続人であり、配偶者は必ず相続人となります。以降は優先順位があり、第1順位は亡くなった人の子。子がいなければ第2順位、亡くなった人の実親。第2順位も該当者がいなければ、第3順位である亡くなった人の兄弟姉妹へと移ります。

 

今回の事例では、妻とふたりの子どもが相続人となります。もし離婚していれば、元妻は相続人にはなれず、ふたりの子どもだけが相続人となります。ただ子どもたちは未成年のため、実質、実母の香苗さんが相続を受けたようなものです。どんなに頑張っても、相続では香苗さんの影響は避けられません。

 

たとえば、香苗さんへの相続額を減らし、太一さんの介護や子どもたちの面倒に尽力した裕子さんにも遺産を分けようとするなら、遺言書の作成が有効でした。作成の際に気を付けるべきは「遺留分」。これは遺言でも守られる最低限相続する権利で、法定相続分の半分が認められます。

 

たとえば今回、4,000万円の遺産があったとすると。2,000万円が妻・香苗さん、1,000万円ずつが子どもたちの相続分となります。その半分ですから、香苗さんは1,000万円、子どもたちは500万円まで遺留分として主張できます。逆をいえば、遺産総額4,000万円のうち、その半分は、妻・香苗さんの力が及ばないようにできることになります。

 

[参考資料]

法テラス『法定相続人とは何ですか。』

法テラス『法定相続分とは何ですか。』

法テラス『遺留分の相続財産に対する割合はどうなっていますか。』