地方からの上京組、生粋の東京人への嫉妬をバネに高給取りに
東京カンティ『2023年 タワーマンションのストック数(都道府県)』によると、全国のタワーマンションのストック数は1,515棟・39万9,638戸にのぼります。ちなみにタワマンがあるのは38都道府県。調査時点、青森県、石川県、三重県、奈良県、鳥取県、島根県、徳島県、大分県、宮崎県の9県はタワマン(20階建て以上、高さ60メートル以上のマンション)がありません。しかし、全国で展開されている再開発計画はタワマンがセットで語られることが多く、タワマンのない地域でも建設計画は進行中。いずれタワマンが47都道府県を制覇する日も近いかもしれません。
2023年に竣工したタワマンは全国48棟・1万5,330戸で、東京都と大阪府がそれぞれ9棟で最多。2024年は昨年末集計時点で43棟・9,885戸。昨今の建築費高騰を受け、再開発計画の見直しが相次いでいますが、それはタワマンも例外ではないのでしょう。地方を中心に供給規模やエリアを縮小させる動きがみられるといいます。
そんなタワマンのなかでも、東京都心のタワマンは価格の桁が異なり、頭ひとつ抜けた存在といっても過言ではありません。港区・湾岸の(中古)タワマンで暮らす山本直樹さん(仮名・37歳)。地方出身で、東京での暮らしに憧れて大学進学とともに上京。しかし、そこには思い描いたような日常はなかったといいます。
――子どものころにみた東京の生活に憧れをいだいていましたが、あんなキラキラした世界で生きているのは、ほんのひと握りの人だけだと思い知った
特に付属校からエスカレーターで大学に進学している人たちとは、経済格差がすごかったといいます。
――同じ大学1年生なのに遊び方がすでに大人。住んでいるところも、親が持っている都心のマンションだったりと……この人たちとは生きてきた世界が違うんだなと思い知らされました
同級生に嫉妬に似たような思いを抱いてきたという山本さん。就職は、とにかく給与重視で会社を選び、給与重視で転職を繰り返してきたといいます。仕事に対して徹底していたからでしょうか、現在の年収は3,000万円超。同年代の大卒サラリーマンの平均年収は645.5万円なので、およそ5倍。さらに東京都心のタワマンで暮らし、すでに成功者という風格を漂わせています。