複雑な年金制度ですが、なかには「なんでこんな決まりが?」と首を傾げたくなる規定も。そのひとつが「在職老齢年金」。50万円の上限を超えると年金が停止になるという決まりに、憤りを隠せない人も大勢いるようです。
時給1,300円でビルの清掃を続けてきたが…腰は限界で働けず「年金月6万円・68歳女性」明日も見えずに絶望していたが、日本年金機構からの「緑色の封筒」に涙 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金月6万円では暮らしていけず…68歳女性の苦難

厚生労働省『令和5年国民生活基礎調査』によると、「所得の100%が年金」だという高齢は41.7%、「80~100%」が17.9%、「60~80%」が13.9%と続きます。また高齢者世帯の生活意識として、「大変苦しい」が26.4%、「やや苦しい」が32.6%。実に6割弱の高齢者が生活苦を訴えています。

 

やはり年金がベースとなる老後の生活。特に年金収入が大きく増えるわけでもないのに、物価がどんどん上がっていく昨今は、高齢者を苦しめます。

 

――本当に、どうやって生きていけばいいのか

 

そんな愚痴を口にした山本靖子さん(仮名・68歳)。月の年金は6万円程度。これだけでやっていけるはずがなく、毎月3~5万円程度のお金を取り崩しながら生活しています。

 

山本さん、少し前まではビルの清掃員をしていました。時給1,300円で1日4~6時間勤務。月収は12万~15万円程度だったとか。そこに年金が月6円プラスすれば、「1人で暮らしていくには十分な金額でした」と山本さん。このとき散財をするわけでなく、コツコツとお金を貯めてきたから、今は生活が成り立っていると感じます。

 

生活保護を勧めてくれる人もいました。しかし、山本さんには生活保護費以上の預貯金があり、申請は認められることはなかったのです。

 

――この貯金が底を尽きるまでは頑張れということなんでしょうね

ちなみに山本さんが住む神奈川県のとある市の生活保護費は、68歳女性で生活扶助基準額が7万3,590円、住宅扶助基準額が4万1,000円(持ち家の場合は支給されない)、合計11万4,590円。生活保護を受ける場合は、あらゆる資産を活用し、それでもなお生活保護費を下回っていることがひとつの基準となります。