新米価格が31年ぶりの高値
農林水産省が10月18日に発表した2024年産米の9月の相対取引価格は、玄米60㎏あたり2万2,700円でした。これは、記録的な冷夏が原因で2万3,607円を付けた「平成の米騒動」(1993年)以来31年ぶりの高値です。タイ米などを緊急輸入したことで、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
また、総務省が発表した9月の全国消費者物価指数によると、コメ類は前年同月比44.7%の上昇となっています。近年は、猛暑は当たり前のようになってきていますし、人手不足も深刻で、私たち日本人にとって重要な主食であるお米が手に入りにくくなっているようです。これは食卓の危機でもあります。さらに、帝国データバンクによると、2024年10月の食品の値上げは2,911品目に上っており、12月までの値上げ予定を含めると2024年の値上げの累計品目数は1万2,401品目に達する見込みです。
大企業を中心に賃上げが実施されているといっても、続く物価高を上回るものではなく、また、仕事を辞めて老後生活に入られた高齢者にとっては、急激な値上げラッシュはマネープランを大きく崩すものになります。
5年前とどのくらい食料品が値上がりしたのかを総務省の小売物価統計調査をもとに上昇率を計算しました(2019年9月と2024年9月との比較になっています)。わずか5年のあいだにこれだけ変わってしまったのか、と改めて数字で見ると驚きですね。
物価高に困窮する親世代、子世代
Aさんはいいます「可愛い娘だと思って小さいときから甘やかして育ててしまった。なにか言うと、もう来てくれないんじゃないか、と不安でしたが、自分たちのこれからの生活を考えると余計心配です。これじゃ、老人ホームに入る資金が足りないよ」。
Aさんの妻は意を決して、娘と話をすることにしました。娘は、「主人の収入が去年から減っちゃったの。下手したらリストラ候補よ。子どもたちはこれからもお金がかかってくるでしょ。それに住宅ローンも変動金利で組んじゃったから、これから返済額が増えないかと戦々恐々よ。でも、たしかにお母さんのいうとおりね。ちょっと甘えすぎちゃったわね。なんとか私たち家族で頑張ってみます。これからは迷惑がかからない程度に時々は顔は出すから。ごめんなさい」と、反省した様子だったといいます。
娘と話をしたあと、Aさん夫婦は「自分たちも住宅ローンを抱えながら子ども2人を育ててきたけれど、もっと家計や気持ちにもゆとりがあったよね。いつからこんな時代になっちゃったんだろうね」と寂しく語り合いました。
川淵 ゆかり
川淵ゆかり事務所
代表