国民年金保険料が後回しに…

自営業を営む50歳の田中さん(仮名)は、40代半ばで独立しITコンサル業を営んでいます。独立当初は順調なスタートを切ったものの最近はライバルが多く、案件獲得のためにコンサル費用を下げざるを得ない場面も増えました。ここ数年は経費のやりくりにも苦労しています。

そんな中、毎月の国民年金保険料の支払いが徐々に後回しに。田中さんは、「今は支払いがきついけど、いつかまとめて払えばいいだろう」と軽く考えていました。妻にも内緒にしていました。

しかし、日本年金機構からは何度も田中さんのもとに封筒が届きます。妻は田中さんに問い詰めますが、田中さんは適当にあしらってました。そうしているうちに「派手な封筒」が届きます。妻は胸騒ぎを覚え、田中さんには何も言わずに封筒を開けてみると、田中さんが国民年金の保険料を滞納していることが分かりました。

さらに、「財産の差押え準備に入る」旨も書かれています。妻は慌ててネットで情報を集めてみると、思いがけない事態が起こる可能性が……。

思いがけない事態①:延滞金が請求される可能性

国民年金の未納が続くと延滞金が発生します。延滞金は、督促状で指定した期限より後に国民年金保険料を納付したときに発生しますが、延滞金の発生は、「督促状で指定した期限」からではなく、「本来の国民年金保険料の納付期限の翌日」からとなります。

未納期間が長引けば長引くほど、この延滞金がかさんでいきます。田中さんの場合、2年間近く滞納している保険料と合わせて40万円を超える金額となりそうです。

思いがけない事態②:財産差押えの危機

最も深刻だったのは、「財産差押え」についてです。奥さんは最初、「ただの脅しかもしれない」と思ったものの、詳しく調べてみると滞納が続けば実際に財産が差押さえられるケースがあることを知り、焦り始めました。

思いがけない事態③:老後の生活設計に狂いが生じる恐れ

未納期間があると田中さんの年金受給額にも影響が出ます。国民年金は老後の生活を支える重要な収入源ですが、未納期間が長いと、その分受給額が減少するのです。

夫婦2人の年金が老後の貴重な生活資金です。田中さんの年金が減ると世帯ベースでの老後の生活設計に狂いが生じます。

保険会社に勤める妻は普段からポイ活に熱心で、お金に関してはかなり細かい性格です。あまりのショックから、「私は必死にポイ活しているのに。このままでは離婚する」とまで言い出しました。田中さんは困ってしまい社労士に相談しました。