介護資金の準備、どのように備えるべき?

早田さんのように親の介護の悩みを抱えるシニア世代は少なくありません。なかには、仕事を早期に退職しなければならないような状況になってしまうこともあります。要介護状態になると、公的介護保険の制度を利用することができて一般的に自己負担額は1割となるため、介護サービス自体に掛かる費用自体はそれほど大きな金額にはならないものです。

しかし、老人ホームに入居するような場合、賃料や食費などの費用は1割負担の対象にはならず、自己負担分が大きくなってしまいます。そのため、老人ホームへの入居を考えている場合は、その分の資金の準備が必須となります。

厚生労働省の公表する介護事業状況報告によれば、65歳以上の要介護介護等は令和元年度で約655.8万人となっています。同年の65歳以上の人口が約3,589万人ですので、約18%が要支援、もしくは要介護状態となっており、年齢が上がればさらに割合は高くなります。

「家族に迷惑をかけたくない……」

こう思う方も多いと思いますが、家族に負担をかけないためには、介護が必要になることを想定したうえで資金準備が必要となります。

介護費用を含めた資産形成を行うこと、また生命保険も活用しながら、介護資金の準備も考えてみましょう。また、両親の介護が不安な人は、元気なうちに公的年金の金額や貯蓄額を把握し、介護資金が十分にあるかどうか、もしも介護が必要になったらどのように対応すべきか、しっかり対策しておきましょう。

家族間では感情的になり話し合いができないような場合には、介護資金やシニアのマネープランニングに強いファイナンシャルプランナーなど、お金の知識を持つ第三者を交えて話し合いをするのも一考です。自分たちの生活を守るためにも、どう対策をするか、家族間で早めに話し合っておくことがが大切です。

介護問題は他人事ではない

今回は、親の介護により悠々自適な老後の生活からお金の不安を抱えた介護生活に変わってしまった、早田さんの事例をお伝えしました。こうした介護問題は避けられない現実です。ですが、早めの備えと家族の協力があれば、思わぬ負担を軽減することができます。

また、前述の通り、要介護状態になる確率は高く、他人事ではありません。実際にこうした状況になったときのために、どのように準備し、残された家族が困らないようにするか。また親に介護が必要になった場合にどう自分達の生活を守っていくか、早い段階に考え対策しておくことが必要です。

小川 洋平
FP相談ねっと