結婚前は盛り上がった2人。しかし、結婚生活が始まると、それまでは気づかなかったり、場合によっては見て見ぬふりをしてきたりした2人の価値観の違いが現れます。お金についての考え方もそのひとつでしょう。本記事では、山本麻衣さん(仮名)の事例とともに、離婚後の財産分与について、FP dream代表の藤原洋子氏が解説します。
〈年収1,000万円・貯金2,000万円〉39歳会社役員夫、愛娘のケーキを抱えて家路…誕生日パーティー後に放たれた妻の「衝撃のひと言」に戦慄【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

同僚の結婚式で出会い、結婚した30代夫婦

33歳の山本麻衣さん(仮名、会社員)は、3年前、同僚の結婚式に招待されました。大学を卒業してから、友人などの結婚式に招待されるのは3回目になります。幸せそうに微笑む新郎新婦を祝福する気持ちと同時に、「私もそのうちに……」とちょっと羨ましいという思いも。

 

新郎側の友人として招待されていたのが、現在の麻衣さんの夫である拓哉さん(仮名/現在39歳)です。拓哉さんの気さくな人柄に惹かれ、お付き合いが始まります。1年後に2人は結婚、麻衣さんは半年前に長女を出産し育児休暇中です。拓哉さんは父親が経営する不動産会社で、役員として勤務しています。

 

結婚すると同時に新居となる新築のマンションを購入しました。拓哉さんの両親から頭金として1,000万円援助してもらうことができました。夫婦の年収は、夫が1,000万円で妻は500万円の合わせて1,500万円。かわいい赤ちゃんも誕生して、幸せいっぱいの生活が続いて行くと思われたのですが……。

 

教育方針の違いをめぐり夫婦のあいだに生まれた溝

今日は長女の誕生日。拓哉さんは仕事を早めに切り上げ、愛娘のために特注のケーキを抱えて帰宅しました。楽しい誕生日パーティーを終えて、長女が寝静まったころ、麻衣さんは拓哉さんに、日ごろ考えていたことを話してみようと思いました。相談内容は長女の小学校受験について。麻衣さん自身、私立小学校に通っていたこともあり、長女にもぜひそうさせたいという思いがあったのです。

 

拓哉さんは、「えっ、お受験ってこと? 幼稚園に入園したら塾に通わせたり学費だったり、大変なんじゃない? 第一、麻衣の仕事はどうするの?」と動揺を隠せません。麻衣さんは、「仕事は辞めたいと思ってる。しばらく専業主婦として育児に専念したい……。もう1人子供も欲しいし……」と本音で伝えました。「い、いきなりなんだよ……」まるで悍ましいものを見るような目つきでした。

 

その日を境に、拓哉さんは麻衣さんとの会話を避けるようになったそうです。子どもの遊び相手をしてくれることはあっても、麻衣さんがどんなに大変そうでも、育児や家事の協力はしてくれなくなりました。話しかけると、些細なことで口論になることが増えていきました。

 

「もしかして、財産目当てで結婚したと思われているのかな……」思いつめた麻衣さんは「このままこんな生活が続くなら、いっそ長女を連れて離婚し、実家に戻ろうか……」と考えるように。