結婚前は盛り上がった2人。しかし、結婚生活が始まると、それまでは気づかなかったり、場合によっては見て見ぬふりをしてきたりした2人の価値観の違いが現れます。お金についての考え方もそのひとつでしょう。本記事では、山本麻衣さん(仮名)の事例とともに、離婚後の財産分与について、FP dream代表の藤原洋子氏が解説します。
〈年収1,000万円・貯金2,000万円〉39歳会社役員夫、愛娘のケーキを抱えて家路…誕生日パーティー後に放たれた妻の「衝撃のひと言」に戦慄【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

離婚したら夫婦の財産はどのようになる?

「私、離婚するかもしれません……」麻衣さんは筆者に話し始めました。

 

「一緒に生活をするようになって、長女が生まれる前までは上手くいっていたのですが、教育のことを相談するようになってから、意見や行動の食い違いが目立つようになって。もともと性格が合わなかったのかもしれません。私は会社勤めをしているので、収入はあります。実家に戻ることができれば長女も寂しい思いをすることはないと思います。ですが、夫婦で購入した家や、貯金、保険はどうすればいいのでしょうか」これからのことを思うと不安でいっぱいの様子です。

 

離婚を考える多くの人が悩む「お金」の問題。ここで、財産について整理していきます。2人の財産は以下のとおり。

 

・拓哉さん名義の財産

マンション:6,000万円(頭金1,000万円は拓哉さんの両親からの援助) 

車:300万円 

定期保険:5,000万円(死亡保障) 

長女の学資保険総受取額:540万円 

預貯金:1,000万円 

iDeCo:150万円

 

・麻衣さん名義の財産

定期保険:2,000万円 

預貯金:300万円 

iDeCo:100万円

 

夫婦が婚姻期間中に築いた財産を離婚時に公平にわけることを、「財産分与」※4といいます。これは、法律に定められていることです(民法第768条1項、771条)。中心になるのは「清算的財産分与」で、結婚しているあいだに形成されたものは、どちらか一方の名義になっている財産でも財産分与の対象になります。住宅購入時に拓哉さんの両親から援助を受けた1,000万円は、拓哉さんに返すという考え方です。生命保険は、解約返戻金が発生するものに関しては、原則、財産分与の対象となります。iDeCoも財産分与の対象です。

 

まずは当事者間で話し合って、分割する金額を決めます。話し合うことができないときは、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることが可能です。家庭裁判所の審判では、共働きのケースであっても、夫婦のどちらか専業主夫(婦)のケースであっても、婚姻期間中の財産を2分の1ずつにわけることが多いようです。