10月15日(火)は何の日か、知っていますか? 今日は高齢者のみなさんが待ちに待った「年金の振込日」です。この日を待ちわびたと心驚かせ、いつものように通帳に記帳したり、現金を引き出したり。しかし、ふと異変に気づき、肩を落としてしまう人も多いようです。
ふざけるな!「10月15日は年金支給日だ」と浮かれ気分だった「年金17万円・65歳元サラリーマン」、思わず二度見する「年金振込額」に怒り心頭 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金月17万円…2ヵ月で約1.3万円の税金が天引きされる

老齢年金は雑所得。つまり課税対象。年金額に応じて、所得税と住民税が課せられます。基本的に年度当初時点で65歳であれば、9月までは納付書での支払い、10月からは天引き(特別徴収)が開始されます。たとえば、年金月17万円、年間204万円であれば、所得税は年2万3,000円ほど、住民税は5万6,000円ほどです。住民税は自治体によって変わりますが、月6,600円、2ヵ月分の振込みだと1.3万円ほどが天引きされるようになるわけです。

 

年金額面で月17万円ほどだった小林さん。年金が天引きされるようになるタイミングを知らず、いつものように記帳しに行ったら、「あれ、年金が減らされている!」と困惑、そして激怒してしまったといいます。

 

――あのときは、年金事務所の人に「ふざけるな!」と怒鳴り散らしてしまい……お恥ずかしい

 

ちなみに年金受取2年目も10月は鬼門です。受取2年目以降になると年間通じて天引きされるので、1年目のような衝撃はありません。しかし10月以降に「年金減額」に直面するケースがあります。年金からの天引きは、4月、6月、10月は仮徴収。そして10月、12月、2月は前年所得分に合わせた本徴収となります。このとき、所得が増えていた場合、当然、天引き額も増えるというわけです。

 

年金生活者の場合、年金自体はそう増えることはありませんが、たとえば不動産を売却した場合や、株式を売却した場合は合計所得が増え、当然、天引き額も増えます。

 

また年金が減額となるのは、働きながら「在職老齢年金」を受け取っている場合。年金+給与が上限(令和6年度は50万円)を超えると、その部分の年金は一部、または全額が支給停止となります。

 

ちなみに年金額から各種控除を行い、残った部分=所得に対して課税されますが、一定の額より少ないときは非課税となります。

 

複雑な年金制度。単に振込みひとつにしても「なぜ?」ということもいろいろ。そして「年金は税金がかかる」ということも知らない人は意外に多く、「年金が減らされている!」と大騒ぎするシーンもよくみられます。年金から引かれる額をしっかりと把握しておかないと、老後の生活設計は大きく狂います。ある程度、手取り額を把握して、しっかりとシミュレーションをしておくと、老後の生活も安泰です。

 

[参考資料]

日本年金機構『年金はいつ支払われますか。』

日本年金機構『年金から税金が差し引かれています。どうしてですか。』

日本年金機構『老齢年金から税金が差し引かれていません。どうしてですか。』