矛盾が指摘される年金ルール「在職老齢年金」
現在、契約社員として働く元上司。勤務時間は10~17時で、週5日。前後1時間ずつでも長く働いてくれたら、そのぶん、ほかの社員の負担が軽減できる――そんな加藤さんの想いに対して、元上司の回答は、まさかの「ノー」。元上司なら力になってくれると思っていただけに、予想外の返答でした。元上司は続けます。
――これ以上働いて給与が増えたら、年金が減らされちゃうからよ。ごめんな
――(えっ、年金!?)
予想外の断り文句に、思わず言葉が出なくなってしまった加藤さん。そこでシニア人材、働きすぎると損をする場合があることを詳しく知ることになったといいます。
働きすぎると損をする……これは「在職老齢年金」という制度。70歳未満の人が会社に就職し厚生年金保険に加入した場合、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる場合があります。
年金減額のラインは50万円(令和6年度)。基本月額*1と総報酬月額相当額*2との合計が50万円以下であれば「全額支給」となり、50万円を超えると「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2」だけが支給されます。
*1:加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額
*2:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
――「人手不足解消のためにシニア人材の活用を」といっているのに、働きすぎたら年金が減らされるって……随分と矛盾していませんか?
ため息交じりに愚痴る加藤さん。実際にこの矛盾は問題視され、近々改正の噂も出ています。
[参考資料]