年金が増額となる「繰下げ受給」…デメリット、3つ
厚生労働省『令和5年 人口動態統計(確定数)の概況』によると、2023の死亡者数は157万6,016人。人口1,000人あたりの死亡率は13.0でした。また悪性新生物での死亡数は16万1,144人で、日本人の死因トップです。確かにがんになったら、死を意識し、色々な後悔の念が押し寄せるかもしれません。Aさんの場合、そのひとつが「年金の繰下げ受給」だったわけです。
Aさんは65歳から年金を受け取っていれば、月18.5万円の年金が受け取れたそう。70歳まで繰り下げると、42.0%の増額。月26.27万円と月7.7万円も多く受け取れます。それだけ家計に余裕が生まれるわけです。しかし最終的にトータルで年金をいくらもらえるかで考えると、繰下げ受給をして年金が増えたものの、早く亡くなってしまっては65歳から受け取ったほうが得だった、という考え方が繰下げ受給にはあります。老齢年金については、 納付した保険料以上の年金をトータルでもらわないと損と考える人が多く、繰下げ受給においてもトータルで考える傾向が強いようです。
また年金が増額になったことで、税金や保険料の負担が大きくなるという主張も。もちろん手取り額としては年金は増額となるものの、割合で考えると、年金が増えると払う割合が増えるという考えです。これに関しても、「手取りが増えるのだから、いいのでは」と考える人もいれば、「いや、税金や保険料の割合が増えるのは損だ」という人もいて、価値観による、といったところでしょうか。さらに繰下げ受給によって加給年金がもらえないなどのデメリットも。
これらを加味して、繰下げ受給を選択するかどうかは決めたいところ。Aさんの場合は、年金受給額をトータルで損得を考える人だったようで、「俺は短命だ。繰下げ受給をすべきではなかった」と考えるモードになっているよう。
――がんは大変な病気ですが、得か損か、まだ決まったわけではありませんし……怒られたところで、どうしたらいいのか
田中さん、困惑するばかりです。
[参考資料]