テクニカル分析専門サイト『テクニカルブック』は、株式投資家の株主優待に対する考え方を調査する目的で、現在、株式投資を行っている20歳以上の男女291名を対象にアンケートを行いました。本調査からは、投資判断における株主優待の影響力の大きさが見えてきました。
株主優待銘柄を保有している割合は約7割!投資家の「株主優待」に対する考え方とは?【調査結果】 (※写真はイメージです/PIXTA)

4.株主優待が、業績悪化/株価下落時の保有継続の判断に影響する投資家が74.9%

次のグラフは、株主優待が満足する内容であれば、悪い状況であっても保有継続しようと考えるか質問した結果をまとめたものです。

 

[図表6]業績悪化/株価下落時にも、株主優待に満足していれば、保有継続しようと思いますか?

 

「強く思う」と回答した人は14.8%、「それなりに思う」と回答した人は60.1%で、両者を合計すると74.9%に上ります。株主優待だけで保有継続の判断を行う人は少ないと考えられますが、一定の影響を与える可能性は十分にあるといえるでしょう。

 

企業が株主優待を行う目的のひとつとして、個人の安定株主を増やすことが挙げられます。この結果からは、株主優待の内容を慎重に検討し、株主の満足度を向上させることの重要性がうかがえます。

 

5.半数以上が投資のきっかけに株主優待が影響、強いきっかけになった人も20.6%

最後に、投資開始において株主優待がどの程度重要だったか質問したところ、以下のような結果になりました。

 

[図表7]株式投資を始めるきっかけとして、株主優待はどの程度重要でしたか?

 

「非常に重要だった」と回答した人は20.6%で、5人に1人は株主優待が株式投資を始める強いきっかけになっているようです。また、「非常に重要だった/やや重要だった」を合計すると58.1%で、株主優待が株式投資を始める動機のひとつになった人が過半数という結果になっています。

 

このことからは、株主優待が投資を始めていない人の関心を引きやすい要素であることがうかがえます。投資に慣れていない人にとっても、株主優待は身近で分かりやすい存在であり、投資への関心を高める効果があるといえそうです。

まとめ

今回の調査結果をまとめると以下の通りです。

 

  • 多くの株式投資家が、何かしらの株主優待を受け取っている
  • 多くの株式投資家が、株式の購入判断において株主優待の内容を意識している
  • 株主優待を意識する人でも、優待クロスなど手法に対する認知度や実践度が高いとはいえない
  • 満足度の高い株主優待は、個人投資家の安定株主化を促進する可能性がある

 

この結果からは、株主優待は多くの個人投資家が意識している重要な要素であり、投資判断にも影響を与えていることがわかります。企業にとって株主優待は、個人投資家を引きつけ、長期的な関係を構築するための有効な手段のひとつといえるでしょう。