足腰に不安ありの78歳男性、口コミを駆使した老人ホーム選び
元々、インターネットなどには疎いタイプだという加藤さん。妻が亡くなり、自宅でのひとり暮らしに不安を覚え、老人ホームへの入居を考えるようになったといいます。そんな噂を耳にした孫が「インターネットで探すと楽だよ」と教えてくれて、まずは一緒に探してくれたといいます。そこで目にしたのが、老人ホームの口コミです。
――利用者本人の書き込みもあれば、家族の書き込み、さらには職員のものも
――口コミを利用すれば、見学などいらないと思えるくらい、老人ホームの口コミは充実していました
そこで加藤さんが選んだのが、評価5星の老人ホーム。設備よし、スタッフの対応よし、食事よし……ありとあらゆるものの口コミが良いものでした。
――さすが5つ星……ネックは費用でした
加藤さんの年金は月20万円。家賃の前払いとなる入居一時金は貯金から賄うとして、月額費用は30万円近くにもなり、毎月、貯金からの取り崩しが必要。万が一、入居が20年近くになったら底をついてしまうが……。
――そこまで考えるのはバカバカしいと思い、入居を決めました
入居してみて、その口コミになんら嘘はありませんでした。築浅の施設はキレイで清潔感があり、食事をとるダイニングのほか、大浴場や談話室など設備も充実。高級レストランのシェフが監修しているという食事は毎食美味しくいただいています。スタッフの対応も素晴らしく、何もいうことはありません。
ところが加藤さん、入居から1ヵ月で退居してしまったといいます。なぜなのでしょうか。
――ほかの入居者と仲良くできるとは思えませんでした。施設には元経営者や医者とか、お金持ちの人が多く、どこかお互いマウントをとるような会話ばかり。そしていたって普通の私のことは、どこか小バカにしたような……。悔しいと思いましたが、老人ホームでの暮らしは長くなるかもしれず、我慢するのもよくないとすぐに行動に移したんです。
老人ホーム選びで、入居者との相性は大切なポイント。しかし口コミ情報には現れにくいものであり、実際に入居してみないとわからないことも多いポイントでもあります。
老人ホームは一度入居が決まれば終わりというイメージがありますが、現実は自分には合わないと退去に至ることは珍しいことではありません。契約日から90日以内はクーリングオフを利用することができ、入居一時金は原則、全額返還となります。
[参考資料]