子どもが介護をするのを当たり前だと思っている「要介護の父親」だったが
仕事と介護を両立する妹の英子さん。海外に住んでいるため、父親の介護を100%任せっきりなのは仕方がないことと、割り切るしかないと幸子さんは感じていたといいます。
そんなある日、英子さんからメールが。
――お父さんのところに行くのに、毎回お金を請求してもいいかな
思わず「えっ!?」と思ったという幸子さん。メールを読んでいくと、
・仕事と介護の両立はキツイ
・実家に行くたびにちょっとした買い物を頼まれるが、その代金は英子さんが立て替えている
・実家に行くたびに掃除をしたり、食事の用意をしたりと家政婦扱い
・ヘルパーさんにはお金を払うが英子さんにはゼロ円、感謝の言葉もない
・実の親だからと我慢してきたが、そろそろ限界。お金をもらわないとやってられない
確か父親は年金を月18万円程度受け取り、資産運用がうまくいったとかで、貯蓄も結構あると記憶しています。しかし父親は昔からケチな性格なうえ、「家事は女がやるもの」という考えが強いことも知っていました。英子さんへの対応は父親であれば想像の範囲。仕事もしながら父親の相手もするのは、大変だよな……幸子さん、納得でした。
「全然いいと思う」と返信をしたあとは、特に英子さんからの連絡はなく、折り合いがついたのだと思っていましたが、それから1ヵ月ほど経ったころ、今度は父親から電話が入ったといいます。
――すまん、助けてくれ
――英子と連絡がつかないのだが……
数日前、英子さんと大喧嘩となり、「もう私を頼らないで!」といって帰ったきり、どんなに電話をしても、メールをおくっても、英子さんと連絡が取れないと父親。自宅に電話をすると英子さんの夫や子どもたちは出るので、意図的に無視しているのは明らかでした。父親の話を聞いていくと、英子さんから父親にお金の話があったそうですが、「親不孝者」と一蹴したのだとか。
父親からの電話を切った後、英子さんに連絡をしてみると、すんなりと繋がりました。やはり「もう限界、もう無理」とご立腹。
――もうお父さんの面倒は、絶対にみないから
そう宣言した英子さん。こうなったら、テコでも動かないことは幸子さんも知っています。父親は家族には強い態度ででられるものの、他人には何もいえない性格。そのため、英子さんに依存していた部分もあったのでしょう。せめて感謝の気持ちを伝えていれば、こじれることはなかったのに。
幸子さんも父親の介護を任せっきりだったことを少し反省。父親に「もう英子には頼れないよ。それでも自宅で生活する? それとも施設に入る?」と二択を迫ったといいます。家族に頼れないなか、自宅での生活は不安だと吐露した父親。一度帰国し、施設探しの手伝いは幸子さんがしようと考えているといいます。
[参考資料]