穏やかな老後の終焉…「子ども家族との同居」は幸せか?
次女が日本にいるときは何かと騒動が起きていたといいますが、海外に行ってからは平穏そのもの。現在、夫婦ともに60代の後半だという斉藤さん夫婦は現役を引退。夫婦で月33万円ほどの年金をベースに、悠々自適な生活を楽しんでいます。
そんな暮らしが一気に崩壊。きっかけは、次女家族の帰国でした。
――今度帰国するわ。しばらく泊めてくれる
斉藤さん夫婦、孫と直接対面するのは初めてのこと。ウキウキが止まらなかったといいます。そして、次女家族が来日。「アメリカの家と比べたらウサギ小屋のようでしょ、日本の家なんて」とジョークを飛ばしつつ、次女家族との楽しい日々が過ぎていったといいます。
しかし滞在から2週間ほど経ったとき、次女からとんでもないひと言が。
――やっぱり日本はいいわね
――家族で話して、今度、日本に引っ越すことにしたわ。そしたら、しばらく住まわせてね
思いもしない次女の話に目が点になる斉藤さん夫婦。もともと次女の夫は日本文化のファンで、今回の来日も夫が熱望したからだったとか。来日から2週間。夫から「このまま日本に住みたい!」と言い出しての急展開。ビザの関係で一度帰国をして、準備が整ったら再度戻ってくるといいます。
――いいわよ
怒涛の展開に思わず快諾をしてしまったという斉藤さん夫婦。現時点では同居は一時的だと考えていますが、「もしかしたら、永遠に住み着いてしまうかも」という懸念も。
内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、「子と同居したい/同居を続けたい」は23.2%。「同居ではなく近居したい」が32.8%、「同居か近居のどちらかをしたい」が12.9%、「同居も近居もしたくない」が14.1%でした。
核家族化が進んでいるなか、同居よりは近居を望むケースが多くなっています。やはり家族とはいえ気を遣う……ということがポイントでしょうか。
一方で、親側の同居のメリットとして、最も多かったのが「ちょっとした手助けが必要な場合に安心して過ごせる」で88.7%。「自立した生活ができなくなった場合に世話をしてもらえる」43.9%、「子や孫の世話ができる」27.0%と続きます。
斉藤夫婦も、長い目でみれば、同居のメリットも見出せるかもしれません。しかし、子育てから解放され、悠々自適な生活を満喫している最中、もしかしたら孫の面倒を押しつけられ多忙な毎日になるかもしれない……そう考えると、快諾してしまったことに深い後悔の念も。
次女家族の手続きは順調に進んでいるらしく、早ければ来月にも再来日……穏やかな老後が終わりを告げようとしています。
[参考資料]