日本は地震、台風、水害など、自然災害の脅威に常にさらされています。今後いつ自分や家族が被災者になるかわかりません。来るべき時に備えてさまざまな準備をしておかなければなりませんが、どんな事態になったとしても必要になるのが「お金」です。そこで今回は、被災した時に起こりうるお金に関するトラブルとその対策、そして日頃の準備について、村井美則FPがお伝えします。
通帳や印鑑・キャッシュカードを紛失したら?口座にログインするIDやパスワードはどうやって管理する?今知っておくべき「被災時のお金の知識」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

写真付きの本人確認書類と現金を持っておく

銀行以外の生命保険会社・損害保険会社・証券会社などの金融機関も「災害時における金融上の特別措置」で払い出しの要請を金融庁から受けます。そのため必要な書類を紛失した場合でも、本人確認と契約内容が確認できれば払い出しを依頼できます。その際、顔写真付きの本人確認資料があるとスムーズに手続きを進められます。


Androidではすでにマイナンバーカードの搭載が始まっていますが、iPhoneは来年2025年春に搭載される予定です。いざというときスマートフォンさえ持って逃げることができれば、それだけで本人確認が容易になる可能性があります。

 

ただし、スマートフォンは充電が切れたらなんの役目も果たせないという弱点があります。キャッシュレス決済のみを使い現金を持ち歩かない方も増えてきましたが、大きな災害が起きると何日も電気が通らない可能性も少なくありません。筆者も浸水被害を受けたときは1週間電気が通らず、携帯も充電もままならない状況でした。被災していない場所まで行って充電する必要があり、とにかく大変でした。

 

電気が通らずスマートフォンの充電ができないという事態はもちろん、支援物資がなかなか届かない、物不足による価格の高騰なども起こるかもしれません。そうしたことを考えると、やはり、いくらかは現金を持ち歩く、非常持ち出し袋に小銭や現金(できれば千円札など細かいほうがいい)を用意しておくことをおすすめします。本人確認書類として、運転免許証やパスポートのコピーを取っておくのもよいでしょう。

 

また、身の安全が何よりも1番ですから、着の身着のままで逃げる場合もあると思います。枕元に避難用のスニーカーを用意し、中敷きの下に少しお金を入れておくのも一つの方法です。

 

これだけ自然災害が多い国であるにも関わらず、非常用持ち出し袋を用意している家庭は半数以下と言われています。皆さんのご自宅はいかがですか? これを機にぜひ用意したり、見直しをしたりしてみてはいかがでしょうか。

 

 

村井美則

ファイナンシャル・プランナー

 

 

【参考】

内閣府防災情報ページ

https://www.bousai.go.jp/oyakudachi/info_saigaikyujo.html

 

金融庁災害等における被災者等支援について―金融上の措置要請

https://www.fsa.go.jp/ordinary/hisaisyashien_kinyusochi.html

 

ゆうちょ銀行Q&A自然災害で参照の多いご質問

https://faq.jp-bank.japanpost.jp/faq_list.html?category=219