一般社団法人「日本アミューズメント産業協会」の調査によると、ゲームセンターの店舗数は年々減少傾向であるものの、クレーンゲームの売上は約2,230億円と業績は好調です。誰もが一度はやったことのあるクレーンゲームですが、そのビジネスはどのように儲けを生み出しているのでしょうか? 本記事では、井上岳久氏による著書『集客が劇的に変わる! クレーンゲーム専門店エブリデイの経営戦略 BAD プレイスでも儲かる理由』(ごきげんビジネス出版)から、クレーンゲームビジネスについて解説します。
クレーンゲームビジネスの裏側…「やたらとれる台」と「とれない台」の決定的な違い

頭が下がるファンたちの研究精神

こうした店舗側の設定に対して、クレーンゲームファンたちもさまざまな工夫や研究をして臨んできており、クレーンゲームには12種類の基本テクニックがあるといいます。

 

一般的には、景品をアームでつかみ、とり出し口に落とすものと思われていますが、山の上のほうに乗っている景品は、うしろから押して転がし落とすほうが確実に景品をとれます。この技を名づけて「雪崩」。ぬいぐるみが斜めに置かれている場合、アームの片方を右肩、片方を左腋の下に入れて持ち上げると、景品が安定して途中で落とさずにとることができます。こちらは名づけて「たすき掛け」。景品に紐が付いているなら、それをアームに引っかけてとることもできます。この技は「カギ穴通し」。1回のプレイでとろうとするのではなく、景品を少しずつとり出し口に近づけて数回かけてとる「バウンドアプローチ」や「横滑り」という技もあります。

 

最初に100円でプレイしてみて、とりやすそうなら追加金額を投入し、むずかしそうならあきらめるのがクレーンゲームではセオリーだそうで、最初の100円を「捨て100」と呼びます。

 

なかには人がプレイしているのを見て、とりやすいマシンかを確認するめざとい人もいるようです。もう少しでとれそうというところまできた人が、お札を小銭に両替えしに行った隙に、ほかの人が入って景品をとってしまうのは「ハイエナ」と呼ばれて、軽蔑される行為だとか。

 

獲得した景品が家に置ききれず、実家に送ったり、レンタル倉庫を借りて保管している人も大勢います。景品をとること以上にクレーンゲームで遊ぶこと自体が楽しくなってしまう人も多くて、景品がとり出し口に落ちる音が聞きたくなることから「ゴトン病」と呼ばれています。

 

本当にマニアックなファンのなかには、自宅にクレーンゲーム機を購入して研究している人もいるようですから、クレーンゲームにはそこまでさせる魅力があるのはたしかでしょう。
 

 

井上岳久

戦略広報コンサルタント