一般社団法人「日本アミューズメント産業協会」の調査によると、ゲームセンターの店舗数は年々減少傾向であるものの、クレーンゲームの売上は約2,230億円と業績は好調です。誰もが一度はやったことのあるクレーンゲームですが、そのビジネスはどのように儲けを生み出しているのでしょうか? 本記事では、井上岳久氏による著書『集客が劇的に変わる! クレーンゲーム専門店エブリデイの経営戦略 BAD プレイスでも儲かる理由』(ごきげんビジネス出版)から、クレーンゲームビジネスについて解説します。
クレーンゲームビジネスの裏側…「やたらとれる台」と「とれない台」の決定的な違い

クレーンゲームビジネス、店側の工夫

部外者からすると、クレーンゲームの景品は景品会社がセットしてくれそうな印象がありますが、基本的には店員がセットしているのです。景品を置く場所は「フィールド」と呼ばれ、近年の機種では縦3×横3の9ブロックに分けられます。この9ブロックのうち、とり出し口を右前にしたり左前にしたり、あるいは2〜3ブロックをとり出し口にしたりと、店舗が自由に設定できます。これによっても店舗は収支を調整できるわけです。

 

昔はアームの強さもひとつしか設定できませんでしたが、いまは右だけ強いとか左だけ強いとか、より細かく店側で設定できるように進化しています。

 

ゲーム台の匙加減を調整する店舗スタッフ

クレーンゲームの景品には仕入れ値の上限価格があり、1986年までは上限200円という時代が続きました。当時は1回でつかみ上げてとるようなマシンだけでした。その後、上限が800円になり、2022年春に1,000円に上がりました。そうして景品のクオリティや上限価格も上がったいまは、より回数をかけてとってもらうようなかたちにシフトしており、押したり突いたりして少しずつ獲得に近づく設定をお店側も工夫しています。

 

つまりパチンコ店の釘のような調整を店舗スタッフでできて、そこで採算とのバランスをとっているのです。クレーンゲーム1台を置くには1坪の広さが必要で、バックヤードも含めると1.5坪分が必要です。坪単価3万円の家賃で借りていると、月に4.5万円の儲けがないと家賃がペイできません。

 

これをベースに、景品を何回に1回とれるかの設定によって、ゲームセンターの収支が見えてきます。お客さまへの還元率が高い設定にしているゲームセンターもあれば、自社の儲けを優先しているゲームセンターもあるわけです。