スマホゲームの普及などを背景に、ゲームセンターの数は減り、業界は一時低迷しました。そんななかで、業界の起死回生の起爆剤となったのがクレーンゲームです。本記事では、戦略広報コンサルタントの井上岳久氏の著書『集客が劇的に変わる! クレーンゲーム専門店エブリデイの経営戦略 BAD プレイスでも儲かる理由』(ごきげんビジネス出版)より、ゲームセンター業界の変化を解説していきます。
10年で2千5百億円減、ゲームセンター業界は低迷も…救世主「クレーンゲーム」が稼ぐ「驚異の年間売り上げ額」

一時は低迷したゲームセンター業界だったが…

JAIA「アミューズメント産業界の実態調査」によると、アミューズメント施設の売り上げは7千億円あった2006年度から、2016年度には4千5百億円ほどまでに低迷しています。ゲームセンターの店舗数は1985年の2万6千店から、2021年には3千9百店までに減少しています。実に6分の1以下です。

 

出所:『集客が劇的に変わる! クレーンゲーム専門店エブリデイの経営戦略 BAD プレイスでも儲かる理由』(ごきげんビジネス出版)
[図表1]ゲームセンターの店舗数 出所:『集客が劇的に変わる! クレーンゲーム専門店エブリデイの経営戦略 BAD プレイスでも儲かる理由』(ごきげんビジネス出版)

 

いかにゲームセンター業界が衰退したかが伝わる数字で、個人経営のゲームセンターがどんどんなくなり、大手の系列店だけ残っているのが現状です。ひとえに、インターネットやスマホを使ったゲームが盛んになり、消費者がゲームセンターに足を運ばなくなったこと。そして若年層の人口減少が原因にあります。客観的に見ても、日本人消費者だけでの状況改善はむずかしいように思われます。

 

クレーンゲームが起爆剤に

一方で、世界中の観光客を取り込んでいる、ゲームセンターを経営する企業もあります。そうすることで自社だけでなく、停滞する市場全体の起爆剤となることを企図しているのです。そしてそれは現実化しています。

 

これだけゲームセンターの数は減っているのに、少しずつではありますが、ゲームセンターの市場規模は、2014年の4222億円から2019年の5408億円へと拡大しているのです。これを牽引しているのがクレーンゲームであることが、テレビ東京系の『世界はデータでできている!』でも証明されました。

 

クレーンゲーム機の価格は1台あたり130万円程度が相場です。ゲーム機1台あたりの年間売上数は、テレビゲームやキッズカードゲームが約70万円、メダルゲームが約50万円、カプセルトイが40万円であるのに対し、クレーンゲームは約150万円と、圧倒的な売り上げを誇っています(JAIA「アミューズメント産業界の実態調査」より)。なかには、この数字をさらに上回る企業もあります。「クレーンゲームは古い」とアミューズメント施設から敬遠される傾向があったそうですが、いまではすっかり立場が逆転しています。

 

この状況をつくり出したのがクレーンゲームの流行であることは間違いなく、クレーンゲーム界を牽引するだけでなく、ゲームセンター業界全体の救世主といっても過言ではないでしょう。

 

出所:『集客が劇的に変わる! クレーンゲーム専門店エブリデイの経営戦略 BAD プレイスでも儲かる理由』(ごきげんビジネス出版)
[図表2]1台あたりの年間売上高 出所:『集客が劇的に変わる! クレーンゲーム専門店エブリデイの経営戦略 BAD プレイスでも儲かる理由』(ごきげんビジネス出版)

 

出所:『集客が劇的に変わる! クレーンゲーム専門店エブリデイの経営戦略 BAD プレイスでも儲かる理由』(ごきげんビジネス出版)
[図表3]2021年度オペレーション売上高 出所:『集客が劇的に変わる! クレーンゲーム専門店エブリデイの経営戦略 BAD プレイスでも儲かる理由』(ごきげんビジネス出版)

 

 

井上岳久

戦略広報コンサルタント

 

※本記事は『集客が劇的に変わる! クレーンゲーム専門店エブリデイの経営戦略 BAD プレイスでも儲かる理由』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。