思ったよりも少ないぞ「年金受給額」が想定を下回る理由
ある程度、受給額が想定できる老齢年金ですが、実際に65歳になって年金を受け取るようになってから「あれ、思っていたよりも少ないぞ」という事態に直面することも珍しくはありません。
吉田進さん(仮名・65歳)もそのひとり。
――月15万円もらえると思っていたのに、5,000円ほど少なかった
――何かの間違いではないかと、何度も何度も(年金の振込通帳)を見直しました
――年金が頼りの生活のなか、ちょっと少ないのでも大きな痛手ですよね
吉田さんが想定よりも老齢年金が少なかったのは、保険料の猶予制度を利用していたから。40代の頃に失業で収入が途絶えた際に、国民年金保険料を支払うのが厳しくなり、保険料猶予制度を申請。納付猶予の期間は、老齢基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間にカウントされますが、年金額には反映されません。ただ10年以内であれば追納により満額受給に近づけることができます。
さらに60歳になれば、国民年金に加入する資格を失いますが、老齢基礎年金を受けられる加入期間を満たしていない場合は、60歳を過ぎても国民年金に加入することができ、満額受給に近づけることもできます。
吉田さんは保険料猶予制度を利用したことすら忘れていたとか。
――ねんきん定期便をきちんとチェックしていたら気づいたことなのに
保険料は猶予のほか、免除制度も。免除の種類は「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」とあり、年金額は以下の通りになります。
・「全額免除」全額納付の場合の年金額の2分の1
・「4分の3免除」全額納付の場合の年金額の8分の5
・「半額免除」全額納付の場合の年金額の8分の6
・「4分の1免除」全額納付の場合の年金額の8分の7
免除制度利用の場合も、保険料追納などにより、満額受給に近づけることが可能です。さらに平成12年4月からスタートした「学生納付特例制度」を利用している人も多いでしょうが、こちらも要注意。この制度も保険料の納付が猶予される制度であり、受給資格期間にカウントされますが受給額には反映されません。「追納していない、でも満額受給を目指したい」というのであれば、60歳以降も国民年金に加入することを検討するのも一手です。
国民年金保険料の未納や猶予・免除制度を利用し、保険料の納付期間が短くなっていることはよくあること。ねんきん定期便をチェックしていれば、保険料の納付期間をチェックできるので、やはり毎年1度は、きちんと確認をしておきたいものです。
[参考資料]