増える高齢者就業者…時代にそぐわないと批判「在職老齢年金」
働く高齢者が増えています。総務省『労働職調査』によると、2022年、65歳以上の就業者は912万人と過去最多を記録。就業者全体に占める割合も13.6%と過去最高を記録しました。
各年齢の就業率をみていくと、65歳以上の就業率は25.2%。「60~64歳」では73.0%、「65~69歳」で50.8%、「70~74歳」が33.5%、75歳以上が11.0%。
・65歳以上の4人に1人が働いています
・60歳定年以降も働いている人は10人に7人です
・65歳で年金受取がスタートしても、2人に1人は働いています
・70代を迎えても3人に1人は働いています
・後期高齢者になっても10人に1人は働いています
これが日本の高齢者の実態です。
働く高齢者が増えたことで注目されるのが「在職老齢年金」。元々、年金は現役を引退したら(=厚生年金保険に加入していない)もらえるものでした。65歳からの在職老齢年金制度が導入されたのは1965年のこと。当時は、基本年金額の2割は支給停止になるものでした。1969年には、65歳までの在職老齢年金制度を導入。標準報酬月額等級に応じ、2割~8割支給停止、または全額支給停止というものでした。
これが旧法(昭和61年3月以前の国民年金法・厚生年金保険法)によるもの。以降を新法といわれますが、ここで65歳からの在職老齢年金制度は廃止されます。そして1995年には、65歳までの在職老齢年金について、年金額の一律2割を支給停止、残りを標準報酬月額と年金額に応じて調整する形に変更。2002年には、65歳以上70歳未満の老齢厚生年金にも在職老齢厚生年金制度が導入されます。
その後もさまざまな改正が加えられ、いまの在職厚生年金の仕組みがあります。そもそも年金の受給対象者となっても、会社などで働いて給与を得ながら年金を受け取ることができる制度である「在職老齢年金」。給与と年金で生活が安定させられるというものですが、高齢者でも働くのが当たり前になりつつあるいま、基準値を超えると年金の一部、または全部が支給停止となるルールが、「時代にそぐわない」と批判を浴びることもしばしば。