2024年1月1日から制度が拡充されたNISA。これを機に投資デビューを果たした人が多くいました。ただ短期的に儲かると思っていた人が多く、後悔を口にする人も多いのが実情です。
銀行なんて信じるんじゃなかった!〈退職金2,200万円〉60歳定年サラリーマン、新NISAで投資デビューも「俺のお金が消えていく!」とパニックの阿鼻叫喚 (※写真はイメージです/PIXTA)

他人にいわれて「新NISAを始めました」が多数

――新NISA、やってないの? やったほうがいいぞ

 

そう、元同僚からいわれたという、小林徹さん(仮名・60歳)。今年、定年を迎え、再雇用制度を利用し、引き続き、契約社員として働いています。

 

定年時に手にしたのは、定年退職金。一時金で受け取るか、年金で受け取るか選ぶことができたといいますが、小林さんは迷わず一時金で受け取ったといいます。

 

――何千万円も口座に入っているのを見たかったんだよね

 

と無邪気に話します。実際に手にした退職金は2,200万円。銀行口座に大金が入っているのを確認することが、毎日の幸せだったといいます。

 

そんな退職金事情を耳にした会社の同僚。自身は小林さんより1年ほどあとに定年を迎えるため、小林さんが退職金をどうしているのか、興味津々。小林さんは「万が一のときに使えるように、銀行に預けているよ」というと、そこから資産運用の話になったといいます。

 

小林さんは昔から預貯金一択。投資とは無縁でした。「難しそうだから、なんとなく避けてきた」というのが理由。そんな小林さんに対し、「銀行に預けているだけだと、損をするぞ」と脅してくる同僚。

 

――新NISAも始まったのに、完全にブームに乗り遅れている

――本当に“ただ預けているだけ”では損をするから、運用をしたほうがいい

 

グローバルファイナンシャルスクールが全国20〜60代の男女に対し行った『投資と新NISAに関するアンケート調査』によると、「今まで投資をしたことがありますか?」の問いに対して、43.8%が投資経験者。また、新NISAスタートをきっかけに投資を始めた人は全体の9.5%でした。

 

新NISAをきっかけに投資を始めた人に、その理由を聞いたところ、トップは「老後の資金を増やすため」。「資産を効果的に運用し、収益を得るため」「(マイホーム購入や子どもの教育費など)目標とする金額を達成するため」「投資が楽しい/興味があるため」と続きました。

 

またもともと投資をやっていた層と、新NISAがきっかけの層と比較すると、新NISAがきっかけの層は「知人から勧められた」「国や自治体から勧められた」「銀行や証券会社に勧められた」と、他人に勧められたことで始める傾向があり、その割合は既存投資層の3倍にもなることがわかりました。

 

同僚の言葉が気になっていたという小林さん。退職金を預けていた銀行からも「退職金の運用を考えるといいですよ」「新NISAもスタートしたので、始め時ですね」などとセールストークを受け、投資を始めることにしたといいます。