小中学生の不登校が増加し続けるなか、「フリースクール」が改めて注目されている。かつては不登校の子どもが“やむを得ず通う場所”といったイメージも強かったフリースクールだが、多様性が認められはじめた昨今、新たな居場所として見直されつつあるという。そこで、実際にフリースクールを利用していた子の保護者と、そのフリースクールの運営責任者への取材をとおして、不登校とフリースクールの実態を紹介する。
多様性の時代…変わりつつある「フリースクール」への見方
長くこの業界に身を置く田中氏は、フリースクールに対する社会の見方が変わってきたと述べる。
「昔は、学校にいけない子どもが“仕方なく”行くところ、といったネガティブなイメージがありました。しかし近年、学校側もフリースクールを学びの場として認めるようになってきており、社会全体の理解が進んできたと実感します」
事実、東京都でも2024年度から補助金を出すようになった。都内のフリースクール利用料の平均額は月4万5,000円程度とされ、負担の重さから入会をためらう保護者も少なくないといわれる。そこで、東京都では今年からフリースクールの利用料について月2万円を上限に助成し、フリースクールの利用を後押ししている。
「フリースクールの運営は経営的に厳しいですが、子どもたちがゆうがくを出て社会で自立して生きていることが喜び、やりがいになっています。先日、高校を卒業して自衛隊に入隊した子が、顔を出してくれました。礼儀やあいさつがきちんとして、昔と驚くほど変わっていて、とてもうれしく思いました」
社会が多様化するなか、学びの場や子どもの居場所も多様化するのは自然の流れかもしれない。不登校の子とその親にとって、フリースクールはひとつの選択肢になり得るだろう。
「学校が苦手」も個性…不登校児にとって“勉強”大切なこと
大林さんはこう語る。
「いまだからこそ言えますが、学校に行かなければおしまいということは絶対にないと思います。私自身、フリースクールに通うという選択をして良かったと実感しています。一般の学校という空間が苦しいと思うお子さんもいます。私の息子もそういう個性だったのだと思います。
勉強よりも、まずは子どもの心が元気になるほうが大切です。勉強は本人がやる気になってからでも遅くないと思います。大介が本格的に大学受験の勉強に臨んだのは高校3年生の夏ごろですから。
不登校の子にとって、社会とつながるためにはスモールステップがすごく大切です。一気につながろうとすると、またつまずいて引きこもりかねません。学校が苦手なら、社会とつながる窓口としてフリースクールがスモールステップの第一歩になると感じました」
※この記事は、THE GOLD ONLINEとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。