現在の職場に留まりながらも意欲を失い、最低限の業務のみをこなす状態を指す「静かな退職」。2022年にアメリカのキャリアコーチがSNSで「Quiet Quitting」と発信したことで話題になり、日本でも注目されました。2月には「Great Place To Work® Institute Japan」(GPTW Japan)が最新の調査を発表。昨年に続く調査で、新たに明らかになった実態とは?
(※写真はイメージです/PIXTA)
意欲を失った社員は「辞めない」!? 経営層はまだ気づいていない… 中間管理職にのしかかる「静かな退職」の実態【最新調査】
若い世代ほど「静かな退職」を認知
まず、「『静かな退職』という言葉を知っていますか?」という質問に「見た」「聞いたことはある」と答えた人は28.5%でした。年代別では25歳~29歳の認知度が最も高く、一般社員や管理職に比べ、経営層や役員の認知度が相対的に低い結果に。現場レベルでは認識が広がる一方、経営層の理解が追いついていない実態が浮かび上がりました。
では、「静かな退職」を実践している人は、消極的な働き方をしていることに不安を感じているのでしょうか?
アンケートでは、「収入が増えないかもしれない」と不安を抱く人が40%を超え、最も多い結果に。一方で、職場での孤立を不安視する人は少なく、4割以上が「職場への影響はない」と考えていました。対照的に、管理職層では「静かな退職」が職場に影響を及ぼすと感じている人が多いことも明らかになりました。
「静かな退職」は職場の“連帯感”を損なう?
この結果を受け、同社は「『静かな退職』実践者は職場内での孤立も厭わず、自分は自分という姿勢であることがうかがえるため、『働きがいのある会社』モデルで重要視される『連帯感』に悪影響を及ぼすことが予想される」と指摘。
さらに、「マネジメントの難易度は高く、中間管理職の権限では解決できない異動配置や評価基準の問題もある。対処を現場任せにすると中間管理職の負荷ばかりが積み上がる危険性がある」、そして「少数の『静かな退職』がきっかけとなり、『現在静かな退職をしていない人』や『今後より活躍を期待する中間管理職』にもさまざまな影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らしています。