日本の会社員の「真ん中」ってどこ?

“平均給与”は年々上昇しているが…

国税庁の「民間給与実態統計調査結果」によると、令和5(2023)年における会社員の平均給与は約460万円でした。約70万円の賞与を引いたひと月あたりの給与は32万円ほど。

日本の平均給与は年々増加しており、令和2年時と比較すると3年間で25万円/年増加していることがわかります。

令和2(2020)年……約435万円

令和3(2021)年……約446万円

令和4(2022)年……約458万円

令和5(2023)年……約460万円

出典:国税庁「民間給与実態統計調査結果 総括表」

しかし、日本の平均給与が増額している割に、自分たちの生活は豊かになっていないと感じる人も少なくないでしょう。

実は、平均年収は年収の高い高所得者層が平均値を吊り上げているという実態があります。

そこで、極端な高所得者や低所得者の影響を受けにくい中央値をみてみましょう。

※ 「中央値」とは、データを順に並べた際に「真ん中にある値」のことをいう。たとえば7人の年収データ(200万円・300万円・400万円・500万円・550万円・1,000万円・2,000万円)がある場合、平均は707万円となるが、中央値は真ん中の500万円となる。

先述の調査によると、年収の中央値は約350万円となっています。賞与約50万円を引くと、ひと月あたりの給与は25万円ほど。こちらの値のほうが、多くの人にとって実感に近い数字なのではないでしょうか。

給与階級別の分布をみると、300万円超~400万円以下の人が826万人(構成比16.3%)ともっとも多く、次いで400万円超~500万円以下の人が782万人(同15.4%)となっています。

令和2年からの4年間のデータをみても、最も多い層は「300万円超~400万円以下」で変わりありません。中央値もほぼ横ばいです。

【300万円超~400万円以下の人数と構成比】

令和2(2020)年……860万人(17.1%)

令和3(2021)年……877万人(17.1%)

令和4(2022)年……840万人(16.5%)

令和5(2023)年……826万人(16.3%)

出典:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査―調査結果報告―」

このように平均年収と年収の中央値には乖離が発生しており、その差は100万円以上にのぼります。ニュースなどで普段目にする年収と実際の生活水準との違和感の正体はここにあるようです。