トレードを行ううえでリスク管理は非常に大切です。リスク管理の中でも新規のポジションを取る際は、リスク管理を入念にしておかなければ、ふとしたタイミングで大きく損失を出してしまうことも……。今回は、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏が、プロトレーダーとしてリスク管理の際に意識していることを解説します。
月利30%のプロトレーダーが「ポジションの保有期間」によっていちいち変えていること…“数分で手仕舞いするトレード”と、“数時間かけるトレード”では大きく異なる ※画像はイメージです/PIXTA

リスクリワードを考えるうえで必要な要素

1.トレードスタイル(保有期間)

リスクリワードを考えるうえで必要な1つ目の要素が「ポジションの保有期間」です。ポジションを保有する時間によって想定するリスクリワードを変化させる必要があります。

 

数分で手仕舞いをするトレードと、数時間から数日かけるトレードでは、許容する損失と利益の大きさは変わります。基本的に数分単位で行うトレードは、小さい損切りを設定してトレードの回数をこなすことで利益の積み上げを目指します。数時間単位のトレードは、ある程度損切りの幅に余裕を持たせて、より大きな利益を目指す必要があります。

 

2.手法の勝率

複数の手法を使いわけているトレーダーは多く存在します。ひとつひとつのトレード手法は、トレーダーによって洗練された手法であることは間違いないですが、トレード手法によって勝率は大きく異なります。リスクリワードを考えるうえで重要なことは、勝率の低い(リスクが大きい)手法はリスクもリワードも小さく取り、勝率の高い(リスクが小さい)手法はリスクとリワードを大きくとることをセオリーとすることです。

 

プロトレーダーは手法の勝率によってリスク管理を行っているため、安定的な利益を積み重ねることができるのです。

 

3.トレーダーの心理的耐久性

最後の要素は、トレーダー自身の心の強さです。損切りを決断し、実行することは誰にとっても辛いことです。しかし、損切りを適切に行わなければ、その後の収益に大きく影響が出てきてしまいます。トレーダーにとって自分の損切りに対する心理的負担の限度を知ることは重要です。

 

自分の資産が損切りによって減ることがなによりも耐え難い人は、リスクリワードの設定の際に損切り幅を小さくする必要があります。自分のキャパシティ以上のリスク設定をしてしまうと、ふとしたときに大きな損失を被ることになります。トレーダーとして成長するためには、事前に決めた水準までは損切りやポジションを利確せずに保有し続けることができるメンタルがどれほどあるのかを知ることが大切です。

普段のトレードにリスクリワードの考え方を組み込もう

今回は、プロトレーダーがトレードごとに意識しているリスクリワードの設定と、リスク管理の奥深さについて解説しました。トレードにおけるリスクは、その時々のトレード条件によって大きく異なります。リスクが異なるにも関わらず、毎回同じリスクリワードをとっていてはトータルで利益を残すことは難しいでしょう。今回解説したような、リスクリワードを考えるうえで必要な要素を加味して、新規のポジションを取ることで安定した利益の積み上げにつながります。

 

毎回のトレードで損切り・利益確定の値幅を一定にしてトレードしていた人はぜひ、毎回のトレードにおいてリスクリワードをより意識してみるといい結果が生まれる可能性が高まるでしょう。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント

執行役員