義母、近所を徘徊→保護されたのを聞いた夫、妻に吐き捨てた暴言
下の世話をしなければならなくなったという義母。恐らく、要介護3に相当すると考えられます。厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、要介護3の場合、同居の主な介護者の介護時間は「ほとんど終日」が31.9%、「半日程度」が21.9%、「2~3時間程度」が11.5%、「必要なときに手をかす程度」は26.0%です。どれほど外部のサービスを活用するかによりますが、3割がつきっきりの介護という状況から、いかに介護負担が重いかが分かります。
さすがに毎日、自分の悪口を言われ、さらに下の世話までする。一方で、足腰には問題はないので、目を離すと家を出てしまい、近所や警察に保護されることも。そんな状況が夫の耳に入ったときのこと。帰宅するなり、女性を怒鳴りつけたといいます。
――ご近所さんに保護されるとは恥ずかしい
――何もしないで家にいるだけなんだから、きちんと介護くらいしろよ
あまりのことに、思わず「ごめんなさい」と謝ってしまったといいます。しかし、ひとり冷静になったときに、悔しくて、悔しくて、嗚咽してしまったといいます。もともと、モラハラ気質のところがあったという夫。このひと言で、何か糸が切れてしまったという女性。
――夫は看護師を求めているだけ。私じゃなくてもいいんですよ
「もう帰りません」と残して、高齢の両輪が暮らす実家へ。後日、あとは夫がサインをしたらいいだけの離婚届を送ったといいます。
高齢化に伴い、親の介護を理由に離婚に至るケースが増えているといいます。民法第877条1項条では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と明言しているとおり、法律上、嫁に直接の介護義務はありません。一方で、「相互扶助義務」(民法第752条)がある通り、夫婦間にはお互いに助け合うべきであり、夫が仕事などで親の介護が難しい場合は、代わりに妻がある程度支えることも必要です。
しかし、介護を押し付けているのでは、助け合っているとはいえません。全面的に親の介護をお願いしているなら、せめて「ありがとう」など、感謝と労いの気持ちはもっておきたいものです。
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