夫婦共働きが増えていますが、突然、夫(妻)が亡くなったら……2馬力で描いていた人生設計が一気に崩れ白紙に。そんな窮地を救ってくれるのが「遺族年金」です。ただ複雑怪奇な日本の公的年金制度。しっかりとルールを知っていないと、想定外のことにまた窮地に陥ることも珍しくないようです。
月収40万円のキャリア妻、夫の死を乗り越え、子も立派に成人したが…65歳で涙する「唖然の遺族年金額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

2児の子育て中のキャリア妻…200万円弱/年の遺族年金

遺族年金は、国民年金に由来する「遺族基礎年金」と、厚生年金に由来する「遺族厚生年金」があります。遺族基礎年金は18歳以下の子どもがいることが前提で、「81万6,000円+子の加算額」を受け取れます。子の加算額は、2人目までは各23万4,800円、3人目以降は各7万8,300円。女性の場合は、年間128万5,600円の遺族基礎年金を受け取ることができます。

 

遺族厚生年金は、亡くなった夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3。計算において、厚生年金の被保険者期間が300ヵ月(25年)未満の場合は、300ヵ月とみなして計算します。女性の場合、年間65万3,000円ほどの遺族厚生年金を受け取ることができます。

 

当時、女性の月収は40万円ほど、手取りにすると30万円程度で、大卒女性会社員の平均程度でした。

 

――これで子ども2人を育てるのは……

 

そこに月16万円程度の遺族年金。それまで遺族年金に関しては「聞いたことがあったが、具体的にどのようなものかは知らなかった」という女性。そのため「予想外の収入で助かった」という感覚だったといいます。

 

【大卒女性会社員の平均給与】

  月収 年収
20~24歳   24.4万円  361.7万円
25~29歳  27.2万円  461.9万円
30~34歳  30.4万円  513.7万円
35~39歳  34.1万円  577.0万円
40~44歳  36.9万円  628.4万円
45~49歳  40.1万円  696.3万円
50~54歳  42.4万円  717.7万円
55~59歳  47.1万円  813.3万円
60~64歳  46.8万円  694.8万円

※出所:厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』より

 

女性が51歳になるときに長男が大学生に。遺族基礎年金は子の加算分が引かされ、月14.2万円程度に減額。それでも嬉しい収入だったことに変わりはありません。

 

女性が53歳になるとき次男も大学生に。遺族基礎年金をもらうことができなくなりましたが、遺族厚生年金に「中高齢寡婦加算」61万2,000円が加算され、月10万5,000円ほどの年金がもらえるようになりました。

 

2人の子は順調に大学を卒業。女性、57歳の時に次男が大学を卒業・就職をし、無事、子育て終了。「親としての務めを果たしてホッとした」と女性。また「夫の遺族年金があるので、60歳の定年で仕事をやめることができた」と振り返ります。