保険の本来の考え方とは
先ほど挙げた理由などから、保険はいらない、無駄であると考える人も増えてきたように思います。ですが保険とは本来、日常で起こるさまざまなリスクに備える制度です。
病気、ケガ、死亡、事故、自然災害をはじめ、いろんなリスクに対して、なにが不安なのか、どう備えたいかは人によってまったく異なります。
よく「保険は損」という言葉も聞きますが、そもそも保険は損得で判断するべきものではありません。保険金がたくさんもらえたから得した、なにももらえなかったから損した、ということではなく、自分では賄えないリスクに備える方法の手段の1つとして保険は存在します。
清水さんご夫婦のように、新婚で子どもはいなくて共働きであれば、一見保険は不要に思われます。しかし、貯金が少ない、家系的に不安な病気がある、住宅を購入予定である、今後子どもが欲しい、転職予定である、ケガをしやすいお仕事・趣味がある、自営業であるなど、条件が1つでも変われば、保険を検討する必要があるかもしれません。
またいざというときに貯金は使いたくないという方や、自分で資産運用は面倒だし怖いという方なら、保険という手段で「備える・増やす」をしてもいいのではないかと思います。
清水さんご夫婦とお話した結果、家系的に不安とのことでがん保険を検討されたうえで、今は資産運用メインで備えていくこととしました。
大事なことは、保険はあくまで手段であり、安心できる方法や備える方法は人それぞれということです。私自身保険などの金融商品を販売しないFPだからこそ、保険や資産運用など手段に捉われずリスクに備えていくことが重要だと実感しています。
保険と上手に向き合っていくには
さきほどの清水さんご夫婦の結論も、もちろんがんにかかる費用も貯蓄から賄うという方法もありますが、ご自身の考えやその他の家計状況によっても異なります。
まずはあなたの周りにどんなリスクがあるのか、どんな不安があるのか書き出して整理してみましょう。またそのリスクや不安を保険で備えたいか、その他の資産で備えたいか考えてみましょう。そしてライフステージが変わったり、前提条件が変わったりした際は、改めて保険に加入するかどうか考え向き合っていきましょう。
もしどうしたらいいか判断に迷う場合は、お金のプロに相談しながら、家計状況や現状使える制度などを一緒に整理し、家計全体のバランスを見ながらベストな方法を見つけることをおすすめします。
金子 舞
ファイナンシャルプランナー