スマホやPCで目を酷使する現代人によくある目の悩みが「疲れ目」や「乾き目」です。「目が疲れて肩までこってきた」「目がしょぼしょぼする」「目が乾燥して違和感がある」などさまざまな症状が見られます。こうした症状は病気といえるのか、予防するにはどうしたらいいのかを、眼科医の窪田良氏の著書『近視は病気です』(東洋経済新報社)より一部を抜粋し、詳しくご紹介します。
「疲れ目」は肩こりの原因になる?
日本ではよく聞くけれど、日本以外ではあまり聞かないものに「疲れ目」があります。疲れ目に効くと銘打ったサプリも多いですね。
疲れ目というのは、とても主観的なものです。何をもって疲れ目と言うかには個人差があります。目が乾いているから疲れていると言う人もいますし、ピントがボケて見にくいから疲れると言う人もいます。
うまくものが見えていないことから疲れを感じる人も多いようです。近くを見ようとすると毛様体筋がキュッと緊張する、つまり目に力が入ります。目に力が入るときに体も緊張することがあるでしょうし、それを疲れと感じる人もいるでしょう。
「目の疲れで肩がこる」と言う人がいますが、あながち間違いではなく、実際の感覚として起こりえます。よく見えていないのに見なくてはいけないという違和感やうっとうしさで、脳が疲れを感じるともいわれています。
昼間よりも夜のほうが、ものが見にくいぶん、目は疲れます。明るいときは眼球内に入る光の量を調節するために縮瞳するのですが、縮瞳すると焦点深度が深くなります。これは、焦点が網膜に近づいてピントが合いやすくなっている状態です。逆に、暗くなって散瞳すると焦点深度が浅くなるので、見にくくなります。
私たちは見にくいとき自然と目を細めますが、これは焦点深度を深くしてピントを合わせようとする無意識の行為です。ただそうすると、目の周りの筋肉がいつも緊張していることにより、疲れがより激しくなる場合があります。
大事なのは、無理に見ようとしないことです。度数の合ったメガネをかけたりして、よく見える状態にしておくことで、よりよく見ようとして緊張せずに済むようになります。老眼なら、老眼を矯正する。近視なら近視を矯正する。遠視なら遠視を矯正する。乱視なら乱視を矯正する。それが、疲れ目を予防することになります。
ちなみに、「目がしょぼしょぼする」という表現がありますが、これも感じ方は十人十色です。目が乾いてしょぼしょぼした感じがする人もいるし、逆に、涙が多くなりすぎてしょぼしょぼすると感じる人もいます。目の乾きが刺激となって反射性分泌の薄い涙が大量に出てしまい、それがしょぼしょぼした感じにつながるようです。