「乾き目」は病気なのか

「疲れ目」と並んで日常的に耳にするのが「乾き目」です。スマホをずっと見ていたり、パソコン作業に集中していたりしてふと気づくと「目が乾いてしまった」とおっしゃる人がいます。

瞬きは定期的に行われなければいけませんが、ものごとに集中したり、何かにジーッと見入ってしまったり、ゲームに夢中になったりして、瞬きを忘れてしまうことがあります。

乾き目は疲れ目につながります。それから、不定愁訴と呼ばれる、よくわからないけれど何か違和感があって嫌な感覚が目に起こったりします。

心当たりがあるのであれば、瞬きをするよう注意して、改善するのであれば何の問題もありません。あとは部屋の湿度を上げて、空気を乾燥させないことです。

パソコンのモニターを見るときに目線を下げるのもいいでしょう。目線が上がっていると眼球の露出が大きくなり、涙液の蒸発が加速してしまうからです。

一方で、眼疾患としてのドライアイもあります。少し難しい言い方ですが、涙液の安定性の低下が多角的に証明されて、自覚症状を伴う場合と定義されています。涙の分泌減少や、角膜の表面をなめらかに濡らすために大切なムチンの減少など、さまざまな理由で起こります。

目が疲れやすいという症状から始まって、ひどくなると強い痛みが出たり、感染しやすくなったり、強い異物感を生じたり、視力低下をきたしたりすることもあります。極端になると本当にカラカラになって、目が干からびて白くなって見えなくなります。

ドライマウスという症状を聞いたことがある方もいると思います。シェーグレン症候群のような病気で顎下腺(がっかせん)や舌下腺(ぜっかせん)が機能しなくなると、唾がまったく出なくなってしまいます。

目も同じで、涙腺がまったく機能しなくなると、角膜の表面にある細胞が機能不全を起こし、コラーゲン組織の並び方が乱れて、いずれ透明性を失ってしまうのです。

窪田 良
医師・医学博士