「聴く」は2つの意味をもつ
一方的に何かを教えるより、質問を投げかけ、相手の気づきをうまく利用しながら教えていくと、理解がスムーズになるばかりでなく、教えられたほうもやる気が出るものです。
こうした教え方の手法を、「コーチング」といいますが、コーチングの手法は、今日、ビジネスの幅広い場面で取り入れられています。
この手法で、特に重要となるのが「聴く」です。話すことが情報提供のスキルだとすれば、聴くことは情報収集のスキルであり、相手を認め、受け入れるという重要な働きかけの手段です。相手の知識はどれほどか、やる気はどうか、期待される答えはどのようなものかなどを知り、相手に合った最適なアプローチをするには、「聴く」姿勢がとても重要になるのです。
「聴く」姿勢には、2つの意味があります。
1つは、相手の真意を理解しようとして、話に耳を傾けるという意味です。自然に聞こえてくる“聞く(hear)”と区別し、理解しようとして“聴く(listen)”ことをいいます。
もう1つは、より積極的に相手を知るために尋ねる、質問するという意味での“聴く(ask)”をいいます。つまり、聴く技術には、「傾聴」と「質問」という2種類のスキルがあることになります。
これらを区別して意識的に使うことで、みなさんは新人の情報を収集し、相手の立場・状況を認めて指導することができるようになります。