ビジネスパーソンとして業務経験を積むなかで、避けて通れないのが、新人社員や後輩社員への指導。なかなか言いたいことがうまく伝わらず、不安になったことがある人も多いのではないでしょうか? 新人社員に業務を教えたり、指示したりする際、正確に伝えるために意識しておきたいポイントについて、JMAM「基本能力研究会」の著書『新人指導の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)より、詳しくみていきましょう。
先輩社員「報告は大切だよ。必ずやってね」→新人社員「??」…経験の浅い新人社員にも高確率で響く〈上手い伝え方〉

声の出し方と話のスピード

うまく伝えるためには、「話の内容」も大切ですが、「話の仕方」も重要です。小さな声でボソボソ話したり、早口で抑揚のない話し方をしていては、自信も情熱も感じられず、相手の興味や関心を引きつけることはできません。

 

つぎの留意点に注意して、一人ひとりにはっきり聞き取れる声で、ゆっくりと話すことが大切です。

 

留意点① 場所と人数に応じてボリュームを調整する

1対1の会話は、お互いの距離が近く、相手だけに向かって話すことができます。しかし、周囲が騒々しかったり、教える場所が広かったり、また、複数の人数を相手にするときは、意識的に大きな声を出すように心がけたいものです。ただし、「教えてやる」と意気込んで、あまり大きな声を出すと、相手に威圧感を与えるので注意しましょう。

 

留意点② 語尾をはっきり言う

日本語では、意思を表す言葉が語尾にあります。「英会話ができる」「英会話ができない」など、語尾まで聞かないと言いたいことがわかりません。

 

聞き手側にも、人の話を最後まで聞く姿勢が求められるのはもちろんですが、話し手側も、相手が正しく聞き取れるよう、語尾をはっきりと言うように意識するとよいでしょう。

 

留意点③ 間を取って話す

話すスピードと、理解するスピードは同じではありません。早口で話すと、相手を落ち着かない気分にさせ、一つひとつ理解していくことができなくなります。

 

一つのことを話したら、つぎの話に移るまで、少し間を取りましょう。うなずいたり、一度目をそらして再びあなたの目を見たりすれば、そこまでの話を理解したサイン。このように、相手が理解する様子を確かめながら、話を進めるようにします。

 

留意点④ 強弱のリズムをつける

抑揚をつけず、ダラダラと単調に話をすると、聞き手は集中力を持続させることができません。また、話のなかでどこが重要なのかが、わかりづらくなります。

 

大事な部分では語調を強めたり、逆に弱めたり間を取ったりして、大切さを強調すると、伝えたいことが伝わりやすくなります。