定年後の生活費はどれほどかかるのか?
――再雇用を希望する者は、定職退職日の2ヵ月前に所定の様式により、会社に申請しなければならない
そんな社内規定をみたことがある人もいるのではないでしょうか。現在、多くの企業が採用する「60歳定年」。さらに希望者は定年以降も働き続けられるよう、再雇用制度を導入しているケースが一般的です。
その場合、定年退職半年前~4ヵ月くらい前に面談の場が設けられ意思確認。再雇用を希望するなら、規定内に申請をするというのが、よくある流れです。
定年退職か、それとも再雇用か。その判断基準のひとつが「お金」。定年後に思い描く生活を実現できるかどうかが、ひとつの基準になります。
生活費はどれほどかは、人それぞれ異なりますが、ひとつの基準として、総務省『家計調査』より、平均的な高齢夫婦の家計を確認してみましょう。ともに65歳以上無職の夫婦、1ヵ月の支出は平均25万0,959円。
【平均的な高齢者夫婦の1ヵ月の支出】
■支出:250959
(内訳)
食料:72,930
住居:16,827
光熱・水道:22,422
家具・家事用品:10,477
被服及び履物:5,159
保健医療:16,879
交通・通信:30,729
教育:5
教養娯楽:24,690
その他の消費支出:50,839
これが定年退職後の夫婦の平均的な支出と仮定すると、年間支出額は301万1,508円。10年で3,011万円、20年で6,023万円、30年で9,034万円。夫婦ともに40年間、100歳まで生きると仮定すると「1億2,046円」お金を使う、つまり、それだけのお金の目途がたてば何ら問題なく、60歳定年で仕事を辞められるといえます。
いくらあれば「60歳定年」で仕事を辞められるのか?
60歳定年で考えるべきは、まず65歳、年金受給が始まるまでの5年間の生活。この間、仕事を辞めれば、基本的に収入はゼロ。貯蓄を取り崩すことになります。生活費に年間301万円を支出するなら、1,500万円の貯蓄が必要になります。
65歳以降、現役時代にきちんと年金保険料を納付していれば、年金収入が期待できます。一般的な高齢者夫婦の場合、月230,483円(令和6年度)。これは額面で、実際の手取り額は85~90%になります。仮に85%とすると19.6万円。1ヵ月あたり5.4万円ほどお金が足りない計算です。
つまり、1年間で65万円、10年間で650万円、20年間で1,300万円……100歳までの35年間で2,275万円の貯蓄が必要になる計算です。
60~65歳で不足する1,500万円、65歳から不足する月5.4万円。あとは何年生きると想定するか。人生100年時代。夫婦ともに100歳までとなると、合わせて3,775万円あればトントンだということになります。