長女の「突然の妊娠報告」に歓喜の夫婦だったが…
40年近く勤め上げたことで手にした退職金は2,000万円ほど。コツコツと進めてきた貯金は3,000万円ほどになるといいます。
――東京の家は処分すれば、田舎じゃ贅沢な暮らしができる
そんな皮算用も。しかし夢は長女夫婦の想定外の行動により、一気に破綻を迎えたといいます。
――お父さん、お母さん、子どもができたの
結婚4年目。待望の第1子に初孫。嬉しい報告に歓喜の声。さらに長女の報告は続きます。
――あそこの家、買うことにしたの
あそことは、夫婦の自宅のはす向かいで売りに出されている一戸建て。「えっ、そんな(実家の)近くに家を?」耳を疑ったといいます。
――これなら孫の面倒もみられるでしょ
長女は生まれてくる子どもを親にあずける気、満々。出産後もすぐに仕事復帰するつもりだという長女。そのために親(祖父母)のサポートは不可欠だといいます。また長女の実家近くに家を買おうと言い出したのは、意外にも長女の夫だといいます。
――お義父さん、お義母さんがいたら、心強いです
マイホーム実現のためには、夫婦共働きは絶対条件。そのため、子どもが生まれたらすぐに仕事復帰するというのは、夫の希望でもありました。さらに初めての子育てだから、経験者が近くにいたほうがいい……実家は関西の長女の夫。義親近くに住むことになんら抵抗感はなく、むしろ自分たちのこれからを考えたら、ベストな選択だと考えているといいます。
国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』によると、いずれの親とも同居していない妻について、親がどの程度離れた距離に住んでいるのか尋ねたところ、妻の母親とは、「敷地内」が3.3%、15分以内が21.7%、15~30分以内が16.8%、30~60分が17.1%、60分以上が40.7%。また30代の妻は、自身の母親と「30分未満の距離に住んでいる」が37.6%でした。
長女のように、親のサポートを期待して親の近くに住むケースは決して珍しいことではないようです。ただ、実家のはす向かいに家を買うケースは珍しいかもしれません。
――海の近くでのんびり暮らす夢の老後が……
夫婦共働きが当たり前になるなか、祖父母も子育てに強制参加……そんなパターンは今後、増えていくかもしれません。そうなると、定年後は夫婦水入らずでのんびりと、といった老後は見直しを迫られるでしょう。
長女と娘婿の想定外の行動に、老後の移住計画が一気に破綻してしまった夫婦。最近は「仕方がないか」と、すでにおじいちゃん、おばあちゃんの顔になっているといいます。
[参照]