もしも親が老後の生活に困窮し、現役真っ只中、住宅ローンや子の教育費に追われる我が子しか頼るアテがない場合、どうすればよいのでしょうか。今回は、佳代子さん(仮名)の事例とともに高齢者への支援制度について解説します。
年収300万円の50歳ひとりっ子〈住宅ローンと子の教育費〉でドン詰まりだが…年金月12万円で遠方に一人住まう、80代母からのカネの無心に「どうしようもない」【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金が足りない場合に使える公的制度

金銭的な援助はできず、子育てやパートで忙しい一人娘ができることはあるのでしょうか? 

 

どうしようもないと嘆くには時期尚早でしょう。援助のひとつとして、高齢者に向けた制度を探し、本人に代わり検討してあげることがあげられます。日本では、生活の苦しい高齢者のために「年金生活者支援給付金」「高齢者向け給付金(年金生活者等支援臨時福祉給付金)」などの制度も用意されています。

 

とはいえ、いずれも所得・資産面での制約もあり、それなりの年金収入を得ている佳代子さんが利用するのは難しそうです。公的制度以外では、リバースモーゲージという選択肢もあります。リバースモーゲージでは、生きているあいだだけ自宅を担保にしてお金を借りられます。相続でのトラブルなどが指摘される制度ですが、子どもに負債が残らないようにすることも可能です。

 

母の死後、娘夫婦が移り住む予定がないのであれば検討の余地があるでしょう。日本では、少子高齢化により年金の受給額は減少していくと予想されます。さらに、近年の日本はデフレからの脱却をはじめているため、物価が上昇すれば受け取れる年金の実質的価値はさらに目減りしてしまうでしょう。生活が苦しい親がいる場合、金銭的な援助ができなくても、なんらかの制度を紹介することで支えになる可能性があります。

 

<参考>

※1:厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和3年度)」

https://www.mhlw.go.jp/content/001027360.pdf

 

※2:総務省統計局「3 高齢単身世帯の家計収支の状況」

https://www.stat.go.jp/data/zensho/2004/tansin/gaiyo7.html

 

 

北川 和哉