平均より多い年金を受け取る両親だが…
地方に住む山田隆さん(仮名)は65歳で長年勤め上げてきた会社を定年退職。3歳年下の妻と一人娘を育て上げてきたごくごく普通のサラリーマンでした。長女はすでに結婚して独立しているため、現在は夫婦2人で暮らしています。
山田さんは、大学を卒業して就職したあと、ずっと年金を納め続けてきたため、令和6年度時点で毎月6万8,000円の老齢基礎年金を受け取れます。さらに、専業主婦の妻にも受給権があるので、夫婦で合計13万6,000円です。
加えて、サラリーマンだったので老齢厚生年金も受け取れます。厚生労働省によると、厚生年金の平均受給額は毎月14万円程度とされており、山田さんもほとんど平均程度の年金を受け取っている状態です。
老齢基礎年金・老齢厚生年金を合わせると毎月28万円程度の年金を受け取れるので、暮らしていくにはほぼ問題ないと思っていました。
老人ホームにかかる費用…要介護2でも毎月14万円以上と高額
そんな山田さんも、退職から1年半ほど経ったころから物忘れの症状が出始めます。仕事以外に趣味がなかったことが原因かもしれません。家にこもりきりの生活が影響したのか、症状は急激に進行してきました。医師からは認知症の診断を受け、要介護2と診断されます。
妻は夫と比べるとまだ元気なのですが、さすがに夫の面倒をなにからなにまで見るのは厳しい状況。そこで、一人娘の佳代さん(仮名)は「老人ホームに入ってみない?」と両親に勧めてみました。いくら老人ホームにお金がかかるといっても、自己負担は1割なのでそこまでお金はかからないと考えたのです。
しかし、厚生労働省の調査によると、サービス付き高齢者向け住宅の平均利用月額は毎月14万円程度となりました。
年間にすると、老人ホームの費用だけで約168万円の出費になります。これだけなら年金で十分補えるのですが、実際には老人ホームの費用だけでなく残された妻の生活費も年金から捻出しなければなりません。