「毎月分配型」の投資信託、やめるべき?

なお、投資した運用成果は、決算期ごとに(毎月分配型なら毎月)発行される「運用報告書」などで確認できます。Aさんは、この5年間で毎月約5万円ずつ、合計約300万円の分配金を受け取っていました。

これは、銀行員のいうとおり、年金受給までの「つなぎ資金」の役割は果たしていたといえます。

「毎月分配型投資信託」のデメリット

しかしAさんは、毎月の分配金を「普通分配金」で受け取ることもありましたが、「元本払戻金」で受け取ることもありました。基準価額も1万円前後で推移しており、投資した1,000万円を割り込む可能性もあります。運用成績がいいとはいえません。

毎月分配型の投資信託は、利益が上がっても投資家に分配されてしまい、運用資金には回り辛く、投資のうまみである複利効果を期待することは難しい商品です。

また、目論見書によると、購入時の販売手数料や保有期間中の信託報酬、それに換金(売却)時の信託財産留保額といった費用が、他の投資信託より高めに設定されています。これは、Aさんの購入した商品だけでなく、毎月分配型の投資信託全般にいえることです。

役目を終えた毎月分配型投資信託

Aさんにとってはこの5年間、毎月分配金が受け取れた「毎月分配型投資信託」は、前述のとおり「つなぎ資金」の役割は果たしており、有益な投資信託でした。

しかし、65歳と年金が受給できる年齢になったこともあり、筆者は「ここは利益を確定して、その資金でほかの運用方法を考えてもいいのではないでしょうか」と提案しました。

お金に関する知識や判断力は、老後を考えるうえで必要不可欠です。Aさんは「最後は俺が決めたことだし、一方的に恨むのは筋違いだよな」と、自らの勘違いを反省。筆者とともに、老後の資産運用方法について新たに検討することにしました。

牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員