久しぶりの実家への帰省。懐かしさを感じる一方で、配偶者が抱く違和感にハッとした経験はないでしょうか。特に、親世代との感覚のズレは表面化しにくいものの、深刻なストレス源となり得ます。ある夫が風呂場で直面した衝撃的な体験をみていきます。
「このタオル、雑巾ですか?」築40年の義実家に初帰省した38歳夫、風呂場で絶叫……妻が青ざめた「実家の惨状」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「義実家が汚い」とは言えない夫の苦痛

都内のメーカーに勤務する佐藤美咲さん(35歳・仮名)は、コロナ禍もあり、結婚3年目にして初めて、夫の健太さん(38歳・仮名)を連れて地方の実家に帰省しました。しかしその夜、風呂場で起きた「ある事件」がきっかけで、今後、帰省そのものをどうするかを再確認することになったといいます。

 

「夫の叫び声が聞こえたときは、何事かと思いました。慌てて脱衣所に行くと、夫がバスタオルを指先でつまんで震えていたんです。『これ、体を拭くやつ? 雑巾じゃなくて?』と……」

 

美咲さんの実家は、東海地方にある築40年の木造住宅。両親は健在ですが、家のメンテナンスは長年後回しにされてきました。美咲さんにとっては懐かしい我が家ですが、清潔好きな夫・健太さんにとっては、そこは異世界だったようです。

 

「夫が指摘したのは、母が『洗ってあるからきれいよ』と出したバスタオルでした。確かに洗濯はしてあります。でも、何年も使い古してゴワゴワで、全体的に灰色がかっていて……。おまけに、梅雨時の生乾きのような臭いが染みついていました。私にとっては『実家のバスタオルはこういうもの』という感覚でしたが、夫には耐え難いものだったようです」

 

この一件は氷山の一角でした。一度気になりだすと、あらゆる箇所の「粗」が目につくようになります。台所のスポンジはボロボロ、冷蔵庫には賞味期限切れの調味料がぎっしり、トイレのマットはいつ洗ったか不明。美咲さんは、夫の強張った表情を見て、初めて事の重大さに気づきました。

 

「自分にとっては育った環境だから目が慣れてしまっていた。清潔なマンション暮らしに慣れた夫と、高齢の親世代の間には、“きれい”の感覚に大きな差があるようでした。私も『ちょっと嫌だな』と思いつつ、『家族なんだから何とかなる』と楽観していたんです」

 

結局、健太さんは「どうしてもここでは眠れない」と訴え、その日は近くのビジネスホテルに泊まることにしました。両親は「水臭い」と不満げでしたが、美咲さんは夫の背中を見て、申し訳なさで胸がいっぱいになったそうです。

 

「親も変わることはないでしょうし、もう、無理に実家に泊まるのはやめました。顔は見せに行くけれど、宿泊は必ずホテル。お互いに楽だから、食事も外で済ませようかと。いわゆる『帰省じまい』の第一歩かもしれませんね。冷たいようですが、良好な関係を続けるためには、適切な距離感が必要だと痛感しています」

 

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